セッション情報 ワークショップ3(肝臓学会・消化器病学会合同)

自己免疫性肝障害・薬物性肝障害のup-to-date

タイトル 肝W3-1:

自己免疫性胆管炎モデルNOD.c3c4マウスにおける胆管炎および唾液腺炎に対するB細胞の炎症促進的役割

演者 守時 由起(秋田大大学院・感染・免疫アレルギー・病態検査学)
共同演者 常山 幸一(富山大・病理診断学), M.E. Gershwin(Division of Rheumatology, Allergy, and Clinical Immunology, University of California Davis)
抄録 【背景】原発性胆汁性肝硬変の患者の90%以上で認められる血清学的特徴として抗ミトコンドリア抗体(AMA)であるが、疾患重傷度とは相関せず、脳死肝移植後にも抗体価の低下はみられない。またPBC自然発症動物モデルのひとつであるdnTGF-βRIIマウスでは遺伝子的B細胞欠損により胆管障害が増悪することから、制御性B細胞の関与が示唆されている(Moritoki, et al. Gastroenterology 2009)ものの、治療的B細胞除去では肝臓炎症の改善を認め(Moritoki, et al. Hepatology 2009)、 PBCの病因におけるB細胞の役割については明らかとなっていない。【方法】そこで我々は自己免疫性胆管炎モデルNOD.c3c4マウスにおけるB細胞の役割を検討するため、遺伝子的B細胞欠損(Igμ-/-) NOD.c3c4マウスを作成し、コントロールであるB細胞保有(Igμ+/+) NOD.c3c4マウスと比較して免疫病理学的検討を行った。【結果】Igμ-/-NOD.c3c4マウスではB細胞は検出されず、組織学的な唾液腺炎症および肝臓炎症の改善、肝臓内炎症細胞浸潤の減弱と胆管嚢胞形成の低下を認め、さらに肝臓内の非B細胞および活性化NK細胞の絶対数減少を伴っていた。【結論】自己免疫性胆管炎モデル NOD.c3c4マウスにおいてB細胞は肝臓炎症および胆管嚢胞形成、唾液腺炎症に促進的に作用することから、 臓器特異的な胆管および唾液腺疾患の増悪にB細胞が関与することが示唆された。
索引用語 自己免疫性胆管炎, B細胞