セッション情報 ワークショップ3(肝臓学会・消化器病学会合同)

自己免疫性肝障害・薬物性肝障害のup-to-date

タイトル 肝W3-2:

原発性胆汁性肝硬変におけるHLAの検討

演者 梅村 武司(信州大・消化器内科)
共同演者 城下 智(信州大・消化器内科), 吉澤 要(国立信州上田医療センター)
抄録 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)はその病態に自己免疫的機序が関与していると考えられている。従来、PBCはHLA-DRB1*08との関連についての報告がされている。最近のGWASのデータではPBCとHLA領域の有意な関連性が示唆されているが、本邦では本疾患とHLAとの関連性についての詳細な検討は行われていない。本研究ではPBC患者におけるHLAについての検討を行った。【方法】1980年から2011年に当院もしくは関連病院にて診断をされたPBC患者 231例を対象とした。HLA-A、B、Cw、DR、DQ座遺伝子タイピングはLuminex assay法、sequence-based typing (SBT)法を用いて行った。また、健常人はNakajimaらが解析した523人のデータを用いた。本研究は当医学部遺伝子倫理委員会で承認を受け、参加者から書面で同意書を得ている。【成績】PBC患者は健常人と比較してA*02:01 (17% vs. 11%; P=0.0011)、Cw*03:03 (18% vs. 13%; P=0.013)、DRB1*08:03 (13% vs. 6%; P = 0.00003)、DQB1*04:01 (17% vs. 13%; P = 0.034)、DQB1*06:01 (22% vs. 15%; P = 0.0004)が有意に高頻度であった。一方A*33:03 (4% vs. 8%; P=0.0039)、B*44:03 (3% vs. 7%; P=0.002)、Cw*14:03 (3% vs. 7%; P=0.0032)、DRB1*13:02 (3% vs. 6%; P=0.04)、DQB1*06:04 (2% vs. 5%; P=0.009)では健常者群で有意に高頻度であった。【考案】本邦におけるPBCではDRB1*08:03とDQB1*06:01の頻度が高く、A*33:03、B*44:03、Cw*14:03、DQB1*13:02、DQB1*06:04が低率であった。DRB1*08:03-DQB1*06:01は感受性を示すハプロタイプ(13% vs. 6%; P=0.000042)であり、A*33:03-B*44:03-Cw*14:03-DQB1*13:02-DQB1*06:04は抵抗性を示すハプロタイプ(1% vs. 4%; P=0.005)と考えられた。【結語】本邦のPBCと関連のあるHLAハプロタイプが同定されたため今後は多数例での検討、病態との関連についての検討が必要である。
索引用語 PBC, HLA