セッション情報 |
シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
胆膵疾患に対するtherapeutic EUSの現状(EUS-FNA を除く)
|
タイトル |
消S16-7:超音波内視鏡下胆管ドレナージ (EUS-guided Biliary Drainage: EUS-BD) の検討
|
演者 |
原 和生(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科) |
共同演者 |
肱岡 範(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科) |
抄録 |
(背景と目的)近年、胆膵領域におけるInterventional EUSの進歩はめざましく、中でもEUS-BDは、新規のドレナージ法として注目されている。EUS-BDには、直接法、ランデブー法の2種類が存在し、経胃ルート、経十二指腸ルート、など複数のアプローチルートが存在する。各手技の安全性と有用性については、未だ議論の余地を残している。今回の発表では、現時点におけるEUS-BDの安全性と有効性を検討することを目的とした。(対象)2003年9月から2011年9月までにEUS-BDを試みた76例を対象とした。76例の内訳は、経十二指腸ドレナージ(EUS-CDS)57例、経胃ドレナージ(EUS-HGS)8例、経空腸ドレナージ(EUS-HJS)4例、ランデブー法7例。(方法)EUS-CDSは、通電針を用いて穿刺を行い、肝外胆管と十二指腸球部との間にステントを留置する方法とした。経胃、経空腸ドレナージは、EUS下に19G針を用いて肝内胆管を穿刺し、穿刺経路を鈍的拡張後に穿刺ルートにステントを留置する方法とした。(結果)1. 手技の成功率は、 EUS-CDS 98%(56/57)、EUS-HGS 88%(7/8)、EUS-HJS 75%(3/4)、ランデブー法100%(7/7) であった。2. EUS-CDS群の98%(55/56)、EUS-HGS群の100%(7/7)、EUS-HJS群の100%(3/3)で肝機能障害の改善が得られた。3. 術後数日以内に発症の腹膜炎をEUS-CDS群の6例(10.5%)、経胃ドレナージ群の1例(13%)に認めたが、後期には腹膜炎を1例も認めなかった。4. 重篤な早期偶発症として、EUS-CDS群で、出血1例(1.8%)、胆管炎+肝膿瘍1例(1.8%)を認め、経胃ドレナージ群では、ステント迷入1例(13%)を認めた。5. 重篤な後期偶発症は、すべての手技において1例も認めなかった。(まとめ)EUS-BDは、手技の種類に関わらず良好な肝障害の改善を認めており、胆管ドレナージとして有効な方法であると思われた。EUS-HGSでは、重篤な偶発症としてステント迷入を認めており、処理具の改良が急務と考えられた。 |
索引用語 |
EUS-BD, EUS-CDS |