セッション情報 | ワークショップ3(肝臓学会・消化器病学会合同)自己免疫性肝障害・薬物性肝障害のup-to-date |
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タイトル | 消W3-4:原発性胆汁性肝硬変において治療反応性および肝線維化の進行に寄与する因子 |
演者 | 熊木 天児(愛媛大大学院・先端病態制御内科学DELIMITERToronto Western Hospital, University of Toronto) |
共同演者 | 畔元 信明(愛媛大大学院・先端病態制御内科学), 阿部 雅則(愛媛大大学院・先端病態制御内科学) |
抄録 | 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)において治療反応性および肝線維化の進行に寄与する因子を明らかにする。 【方法】トロント大学関連病院でPBCと診断された683例のうち、診断時および経過観察中に肝生検の施行されており、4年以上の間隔のある69例。肝生検69組をscore化した(Histopathology 2006)。診断時および経過観察中の血液生化学検査成績によりウルソデオキシコール酸(UDCA)に対する治療反応性および肝線維化の進行に寄与する因子について解析した。 【結果】診断時平均年齢は47.4±8.5歳(女性94%、AMA陽性94%)。診断時、early stageが54例(stage 0, n=8; stage 1, n=29; stage 2, n=17)、advanced stageが15例(stage3, n=12; stage 4, n=3)。2回目の肝生検は平均9.4±2.3年後に施行され、33例(48%)で肝線維化の進行がみられた。肝線維化の進行群と非進行群との比較に関して単変量解析を行ったところ、診断時、UDCA治療後1年目および2年目のAST, ALT, ALP, GGT, bilirubinが肝線維化の進行に寄与していた。多変量解析ではUDCA治療後2年目のALPのみが有意な因子として抽出され、基準値上限1.67倍以上の群(治療非反応群)は治療反応群と比較して線維化の進行がみられる例が多かった(p=0.001, OR 12.1, 95%CI 2.7-54.7)。また、門脈域が5個以上存在している34組の組織学的検討では、50%以上の胆管消失のみが治療反応性(p=0.002)および線維化の進行(p=0.012)に寄与していた。 【結論】PBC患者においてUDCA治療反応性が肝線維化の進行に寄与していた。また、胆管消失が治療反応性と肝線維化の進行に寄与していた。 【主な研究協力者】:Maha Guindi, E Jenny Heathcote, Gideon M Hirschfield(トロント大学) |
索引用語 | 原発性胆汁性肝硬変, 肝線維化 |