セッション情報 ワークショップ3(肝臓学会・消化器病学会合同)

自己免疫性肝障害・薬物性肝障害のup-to-date

タイトル 消W3-5追2:

本邦における原発性胆汁性肝硬変の移植時期選択方法の評価―全国調査肝移植例における検討からー

演者 廣原 淳子(関西医大・3内科)
共同演者 仲野 俊成(関西医大・大学情報センター医療情報部), 中沼 安二(金沢大・形態機能病理学)
抄録 【目的】進行した原発性胆汁性肝硬変(PBC)に対する肝移植の評価は定まったものがある。現在、肝移植の至適時期の選択には本邦では日本肝移植適応研究会モデルによる予測予後が推奨されているが、欧米におけるMayoモデルが本邦症例にも妥当か否かは明らかにされていない。厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班では1980年以来、継続してPBC全国調査を実施してきた。登録症例中、肝移植に至った症例の術前術後データを解析し、本邦PBCにおける至適時期の選択方法について検討した。【方法】全国516施設の登録施設に対し2009年8月に実施した第14回PBC全国調査登録症例7376例(平均観察期間:80.3ケ月)のうち肝移植を施行された120例を対象としUpdated Mayoモデル(Murtaugh PA.et al,Hepatology1994)および日本肝移植適応研究会モデル(小幡裕他,肝移植適応基準,1991)を用いた予測余命と実際の移植時期および予後について検討した。統計学的解析にはSAS-JMPVer8.0を用い、p<0.05を有意とした。【成績】肝移植例の性別は男性8例、女性112例で男女比は1:14であった。肝移植時平均年齢は50.7±8.7歳であり、移植方法は脳死肝移植4例、生体肝移植104例、不明12例であった。移植前12ヶ月、6ヶ月、直前におけるUpdated Mayoモデルの平均予測生存率は各々65.3、53.4、22.4%であり、日本肝移植適応研究会モデルにおける平均死亡確率は各々40.0、57.4、76.3%であった。移植後の予後は生存78例、死亡30例、不明12例であり、移植後5年生存率86.7、10年生存率84.5%であった。【結論】本邦PBC全国調査登録例で肝移植を施行された症例はUpdated Mayoモデル、日本肝移植適応研究会モデルとも予測死亡率80%前後の段階で施術されており、生存率は他肝疾患と遜色ない結果が得られている。いずれの予測式も至適時期選択には有用と考えられた。
索引用語 原発性胆汁性肝硬変, 肝移植