セッション情報 |
ワークショップ3(肝臓学会・消化器病学会合同)
自己免疫性肝障害・薬物性肝障害のup-to-date
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タイトル |
肝W3-7:自己免疫性肝炎の病態形成と自己反応性T細胞、NKT細胞、制御性T細胞の動態の関連
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演者 |
佐伯 千里(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
高橋 宏樹(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 銭谷 幹男(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【目的】自己免疫性肝炎(AIH)の発症進展機序は不明である。我々は樹状細胞(DC)と高分化型肝癌細胞の融合細胞(FC)とIL-12の免疫により自己免疫性肝細胞障害が誘導されるモデルを作製し研究を行ってきた。本研究ではこのモデルにおける自己反応性T細胞、NKT細胞、制御性T細胞(Treg)の動態と病態形成の関連を検討した。【方法】C57BL/6マウス骨髄由来DCとHepa1-6のFC皮下接種とIL-12投与にてモデルマウスを作製。発症前、肝炎極期、回復期で肝内、脾臓リンパ球を分離し、肝細胞特異的細胞障害性T細胞(CTL)、Treg、NKT細胞の動態と機能を解析した。【成績】極期には肝細胞特異的CTLの肝内浸潤が増加したが脾内CD8は減少していた。この肝内浸潤CTLの増加には、IL-12投与によるケモカイン増加などの肝内免疫環境変化が必要だった。また極期にはIFN-γ産生性肝内浸潤活性化NKT細胞が増加していた。CD1dKOマウスでは肝炎は生じず、αGarCerによるNKT活性化により肝内CTL浸潤が誘導された。一方、極期には肝内Treg数も増加していたが、これには肝内IL-2、TGF-β増加、Treg誘導性ケモカイン増加が関わり、肝内Treg増加後に肝炎は自然回復した。【結論】FC投与による未知の肝細胞成分を認識する自己反応性T細胞活性化と、IL-12投与による肝内免疫環境変化により、自己免疫性肝細胞障害が惹起された。また肝内CTL浸潤へのNKT細胞関与が示され、自己免疫性肝障害は複数の免疫細胞の相互作用により生ずることが明らかとなった。一方、肝内での炎症惹起によりTregの肝内浸潤、増殖が誘導され、肝炎は軽快することも示されたが、ヒトAIHでも同様の現象がみられるか不明である。こうしたモデルから得られたさまざまな情報をヒントにして、ヒトAIHの病態解明、治療法開発を行うことが肝要と考えられる。 |
索引用語 |
自己免疫性肝炎, 動物モデル |