セッション情報 |
ワークショップ3(肝臓学会・消化器病学会合同)
自己免疫性肝障害・薬物性肝障害のup-to-date
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タイトル |
肝W3-12:成因不明の急性肝不全:自己免疫性および薬物性症例との関連に関するデータマイニングによる解析
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演者 |
中山 伸朗(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科) |
共同演者 |
桶谷 真(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 持田 智(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科) |
抄録 |
【目的】我々はデータマイニングの自己組織化マップ(SOM)法によるクラスタリングで,急性肝不全症例は従来の病型分類とは異なる3群に分類されることを報告した。このうち全体の31%を占めるクラスターII群は自己免疫性(15%),薬物性(16%)および成因不明例(41%)が多く,自己免疫性の70%,薬物性の46%はこの群に分類されていた。従って,II群の成因不明例には両成因の症例が含まれている可能性がある。そこで,これら成因不明例の特徴を解析し,その位置づけを検討した。【方法】全国集計に登録された1998-2007年発症の劇症肝炎 938例(急性型471例,亜急性型467例)およびLOHF 82例を対象とした。クラスタリングでII群に分類された症例の臨床所見を解析し,更にII度以上の脳症発症時のデータを基に,Intelligent Miner(IBM)を用いて個々の症例で該当するクラスターを判定する決定木法モデルを作成した。【成績】(1) II群の成因不明例(131例)の病型は,急性型15%,亜急性型67%,LOHF 18%で,男:女=48例:83例,年齢(平均±SD)は53±17歳で,他のクラスターに比して有意に女性に多く,高齢であった。脳症出現時のALT(平均)は561 IU/Lで有意に低値,T-Bilは18.7 mg/dLで高値であった。肝萎縮は92%に認められたが,感染,腎不全,DICなど合併症の頻度は低率だった。肝移植は19%の症例で施行され,非施行例の94%が死亡しており,予後不良であった。2) 決定木法でII群への分類が高率なのは,脳症出現時に腎障害がなく,ALTが606 IU/L未満,かつウイルス感染が否定された症例(66%),ないしはALTが606 IU/L以上,T-Bilが8.5 mg/dL以上でかつ38.5歳以上の症例(71%)の2種類のリーフであった。【考案と結語】決定木法によってII群の頻度が高いリーフに分類される成因不明例は,その成因として自己免疫性ないし薬物性を考慮して,治療を実施する必要があると考えられた。 |
索引用語 |
劇症肝炎, データマイニング |