セッション情報 シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

胆膵疾患に対するtherapeutic EUSの現状(EUS-FNA を除く)

タイトル 内S16-8:

Metallic stentを用いたEUSガイド下胆管-消化管吻合の治療成績 ―経乳頭的胆道ドレナージ例と比較して―

演者 洞口 淳(仙台市医療センター仙台オープン病院・消化器内科)
共同演者 藤田 直孝(仙台市医療センター仙台オープン病院・消化器内科)
抄録 【背景】 EUSガイド下胆道ドレナージ術 (Endosonography-guided biliary drainage, ESBD) の長期的な治療効果についての報告は少ない。【目的】ESBDにおける、metallic stent (MS) を用いた胆管-消化管吻合 (bilio-enteric anastomosis, BEA) の安全性と長期治療成績を検証すること。【対象および方法】2007年1月から2010年12月まで当センターでESBDを施行した43例中、MS留置によりBEAを行った非切除悪性胆道閉塞16例 (男女比8:8、平均年齢74歳) を対象とした。ESBDは19G針を用いてEUSガイド下に肝内胆管/肝外胆管を穿刺し、穿刺ルートを拡張後、ステントを留置した。MS留置は一期的、もしくは一旦プラスチックステント留置後二期的に行った。同期間に経乳頭的ルートよりMS留置を行った、非切除悪性胆道閉塞66例 (EBD群) を対照とし、早期および後期偶発症、ステント開存期間につき検討した。【結果】ESBDで7例が一期的に、9例が二期的にMS留置を行った。MS留置に伴う早期偶発症はESBD群ではみられなかったが、EBD群では7例 (10.6%) (膵炎6例、胆嚢炎1例) にみられた。後期偶発症はESBD群で3例 (18.7%) にみられ、内訳はステント閉塞2例、逆行性胆管炎1例であった (平均観察期間208±167日)。ステント閉塞はいずれも消化管壁の肉芽増生に伴うもので、腫瘍の浸潤に伴う閉塞はみられなかった。一方EBD群では19例 (28.7%) にみられ、ステント閉塞が11例、ステント逸脱が6例、胆嚢炎が3例、逆行性胆管炎が1例であった。ESBDおよびEBD群の生存期間中央値はそれぞれ177日、272日、ステント平均開存期間は433日、388日であった (p=0.69)。【結語】ESBDにおけるMSを用いたBEAは安全に施行可能で、EBDと比べ腫瘍の浸潤を受けにくくステントの長期開存が期待できる可能性がある。
索引用語 EUS, 胆道ドレナージ