セッション情報 |
ワークショップ3(肝臓学会・消化器病学会合同)
自己免疫性肝障害・薬物性肝障害のup-to-date
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タイトル |
消W3-15:オウゴン含有処方を中心とした、漢方薬による薬物性肝障害症例の検討
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演者 |
及川 哲郎(北里大東洋医学総合研究所) |
共同演者 |
五野 由佳理(北里大・総合診療医学), 花輪 壽彦(北里大東洋医学総合研究所) |
抄録 |
【目的】漢方薬による薬剤性肝障害の報告は近年増加傾向にある。構成生薬にオウゴンを含む漢方薬が原因となることが多いとされるが、漢方専門の単一施設における詳細な解析は行われていない。今回我々は2000年から2009年にかけ、当施設で漢方薬による薬物性肝障害と診断した症例につき検討した。【方法】DDW-J2004ワークショップ薬物性肝障害診断基準によって、漢方薬による薬物性肝障害と診断した21例を対象とした。患者背景や発症時期、発症時の症状の有無、基礎疾患、併用薬の有無、起因漢方薬、DDW-J 2004ワークショップスコアや治療経過などにつき解析を行った。【成績】平均年齢は55.2±13.4歳で女性が多く、17例が服用3ヶ月以内に肝障害を発症した。また、過半数の11例は発症時無症状だった。基礎疾患は、神経・精神疾患及び呼吸器疾患が多かった。起因漢方薬は柴胡桂枝乾姜湯4例、柴苓湯3例、清肺湯3例などであり、19例がオウゴンを含む処方であった。DLST施行例は5例あったが、このうち陽性は1例のみであった。18例においては、起因漢方薬中止あるいはオウゴンを含まない処方への変更のみで肝障害は改善し、経過観察期間の短い症例を除く全例で最終的に肝機能は正常化した。当施設で経験した症例の詳細も提示する予定である。【結論】特にオウゴンを含む漢方薬を処方した場合、無症状でも3か月以内に肝機能検査を行うなど、慎重な経過観察が必要である。 |
索引用語 |
漢方薬, 薬物性肝障害 |