セッション情報 |
ワークショップ3(肝臓学会・消化器病学会合同)
自己免疫性肝障害・薬物性肝障害のup-to-date
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タイトル |
肝W3-16:DDW-J 2004 薬物性肝障害診断基準案の適応前後での当院における薬物性肝障害症例への検査施行率の変化
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演者 |
綾田 穣(増子記念病院・肝臓内科) |
共同演者 |
堀田 直樹(増子記念病院・肝臓内科), 石川 哲也(名古屋大・保健学科基礎検査学) |
抄録 |
【目的】薬物性肝障害(DILI)の診断はその他の肝疾患の除外診断が基本である.しかし,当院では十分な鑑別診断が行われていないものがみうけられた.そこで,2007年より薬物性肝障害(DILI)が疑われる症例に対し,DDW-J 2004 薬物性肝障害診断基準案を適応についてのアナウンスを行い,その前後での検査施行率の変化について検討を行った.【方法】対象は,当院においてDILIと診断された症例のうち,データ解析が可能であった61症例である.アナウンス前の2006年以前の群(A群:26例)とアナウンス後の2007年以降の群(B群:35例)における各検査の施行率などについて比較検討を行った.【成績】A群では, HAV:65.4%,HBV:88.5%,HCV:61.5%,EBV:7.7%,CMV:7.7%,DLST:11.5%,好中球:69.2%,腹部画像検査:100% ,ANA:3.8%,初発の有症状率:57.7%,発疹の有症状率:50%,診断基準案平均スコア:5.0±1.3,判定:可能性が高い/可能性あり/可能性が低い:73.1% / 23.1% / 3.8%であった. B群では,HAV:68.6%,HBV:94.3%,HCV:97.1%,EBV:77.1%,CMV:68.6%,DLST:48.6%,好中球:100%,腹部画像検査:100%,ANA:74.3%,初発の有症状率:31.4%,発疹の有症状率:22.9%,診断基準案平均スコア:6.1±1.7,判定:可能性が高い/可能性あり/可能性が低い:82.9% / 14.2% / 2.9% であった.【結論】EBV・CMVは目立って検査施行率が増加した.また,DLSTについては検査施行率は50%近くに増加した.ANAについては,診断基準に含まれていないが自己免疫性疾患の鑑別も視野入れられるようになったと考えられた.検査結果はどうであれ,薬物性肝障害の診断は除外診断が主であり,診断基準案の使用を啓蒙することにより,診断基準以外の検査項目の検査率も上がったことは重要な結果だと思われた.当院においては,初発症状を欠く症例が近年増加しており新たな薬剤の投与時にはさらなる注意が必要であると考えられた. |
索引用語 |
薬物性肝障害, 診断 |