セッション情報 一般演題

タイトル 96:

保存的治療にて治癒した大腸憩室炎による肝膿瘍の1例

演者 勝野 暁(日本医科大学 第1外科)
共同演者 田尻 孝(日本医科大学 第1外科), 秋丸 琥甫(日本医科大学 第1外科), 吉田 寛(日本医科大学 第1外科), 真々田   裕宏(日本医科大学 第1外科), 谷合 信彦(日本医科大学 第1外科), 川野 陽一(日本医科大学 第1外科), 水口 義昭(日本医科大学 第1外科), 清水 哲也(日本医科大学 第1外科), 高橋 翼(日本医科大学 第1外科), 佐々木 順平(日本医科大学 第1外科)
抄録 症例は55歳男性.4日前から右下腹部痛出現.近医受診し,抗生物質の投与を受けるが,症状改善せず,右上腹部痛および発熱も出現したため当科紹介され,2002年11月20日緊急入院となった.腹部は平坦かつ軟で,右季肋部に圧痛を認めるも,筋性防御は認めなかった.入院時検査ではWBC16800,AST17,ALT29,γ-GTP157,T-Bil1.1,CRP23.06と強い炎症反応を認めた.各種細菌学的検査は陰性.入院時の腹部超音波および腹部CTではS6に5×4cmの膿瘍様病変を認めた.また胆嚢は萎縮し,胆石も認めた.胸水貯留も認めた.以上から肝膿瘍と診断し,禁食,抗生物質のセフトリアキソンおよびパニぺネム,γ-グロブリン製剤にて保存的加療したところ翌日より腹痛は軽減し,11月23日には解熱傾向であった.11月25日にはWBC11200,CRP9.24と炎症反応も改善したため食事開始した.原因検索のために消化管精査を行った.最終診断は大腸憩室炎による経門脈的肝膿瘍であった.12月12日に退院となった.経過中,ドレナージせず,抗生物質単独で経静脈的に13日間,その後経口的に7日間投与した.4月後のCTでは膿瘍は消失していた.肝膿瘍の原因は胆道系感染によるものが多いとされ,治療は抗生物質投与+経皮的ドレナージが一般的である.今回,保存的治療にて治癒した大腸憩室炎による肝膿瘍の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 肝膿瘍, 保存的治療