セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
17:ステロイドが奏功したと思われるMCTD合併GAVE症例
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演者 |
河添 悦昌(東京警察病院 消化器センター 内科) |
共同演者 |
鈴木 剛(東京警察病院 消化器センター 内科), 西村 秀司(東京警察病院 消化器センター 内科), 高橋 秀和(東京警察病院 消化器センター 内科), 吉野 克正(東京警察病院 消化器センター 内科), 平野 正憲(東京警察病院 消化器センター 内科) |
抄録 |
【目的】胃前庭部毛細血管拡張症(以下GAVE)は1984年にJabbariらにより初めてその疾患概念が提唱された疾患である。臨床的特徴として、(1)慢性の消化管出血により貧血を呈す、(2)内視鏡的には胃幽門輪から前庭部にかけて線状にはしる広範な発赤域がみられ、縦走する発赤帯がスイカの模様に似ていることからWatermelon Stomachとも形容される、(3)病理組織学的には粘膜固有筋層における小血管の拡張と線維筋増生、粘膜下層における静脈の拡張・蛇行及び拡張血管における血栓の存在が挙げられる。今回われわれは経口ステロイドが奏功したと思われる混合性結合織病(以下MCTD)を合併したGAVEの症例を経験した。【症例】79歳女性。両上下肢の浮腫のため当院受診。心不全が疑われ加療目的に入院となるが、両手指の腫脹・抗U1-RNP抗体陽性・多発関節炎・手指の皮膚硬化・拘束性換気障害・筋力低下・CPK上昇の所見を認めMCTDと診断。経過中の上部消化管内視鏡にて胃前庭部に限局する発赤を認め、病理所見との一致からGAVEと診断。MCTDに対してプレドニゾロン20mg/日の投与を開始したところMCTD症状は著明に改善。退院後プレドニゾロン量は減量され5mgにて維持されていた。退院より1年半後の上部消化管内視鏡にてGAVE所見は消失した。【考察】GAVEに対する治療法はヒータープローブ、APCなどの内視鏡的治療が主流である。本例はMCTDを合併しており、また患者側の希望により内視鏡的治療は施行せずステロイド投与により経過観察を行っていた。本例は自然寛解の可能性は否定できないものの、ステロイド内服による治療が奏功したと考えられた。GAVE発症機序を考える上で示唆に富む一例と考え、ここに報告する。 |
索引用語 |
GAVE, ステロイド |