| セッション情報 | 一般演題 |
|---|---|
| タイトル | 60:MRIが診断に有要であった発作性腹部膨満症の1例 |
| 演者 | 白倉 克也(済生会若草病院) |
| 共同演者 | 西尾 泰信(済生会若草病院), 伊藤 博(済生会若草病院), 宮崎 泰斗(済生会若草病院), 宮城 匡彦(済生会若草病院), 弘中 学(済生会若草病院), 岩崎 直弥(済生会若草病院), 橋本 善弘(済生会若草病院), 大江 健二(済生会若草病院), 菅野 茂男(済生会若草病院), 浜坂 道夫(浜坂医院) |
| 抄録 | 【症例】58歳、女性【主訴】腹部膨満、腹痛【既往歴】平成8年、胆石症に対し胆摘。20歳時より時に腹部膨満あり。【現病歴】平成10年、軽自動車運転中、塀に衝突して腹部打撲後に、腹部膨満が頻回に生じるようになり、同時に腹痛、腰痛、頻尿を伴った。他院にて精査するも原因不明のため、当院に紹介入院となった。身長152cm、体重61kg、血圧110/60。胸部は呼吸音・清で呼吸状態は正常。腹部は膨満し圧痛が認められ、腸雑音は正常であった。末梢血、生化学的検査上、WBC13200と上昇を認めるがその他異常なし。腹部X線では異常ガス像なし。上部及び下部消化管内視鏡、小腸透視にて明らかな異常なし。脳波は正常であった。患者はヒステリー性格であり、疲労時や憤怒時に腹部膨満を発症することが多く、腹部膨満は朝方生じて夜間には消退することが多かった。腹部膨満は抗不安薬のamobarbital sodium静注にて直ちに消失した。同剤静注前後のMRI検査にて、発作時の横隔膜の低下と腹腔内臓器の前方突出が認められた。最終的に発作性腹部膨満症と診断した。本症は心因性に生ずることが特徴的であり、その発症機転は主として、背部及び側腹部、横隔膜の筋肉の痙攣によって横隔膜が下降し、腹腔内臓器が下方に移動し腹部の前方突出が起こるためと説明されている。腹痛はほとんどない場合から、激痛に至る場合まで様々であるという。治療法は心理療法には抵抗することが多く、発作時にはamobarbital sodium静注が著効するとされている。原因不明の腹部膨満の鑑別診断として、本症の可能性も念頭におく必要があると思われた。MRIが診断の一助となった発作性腹部膨満症の一例を経験したので報告した。 |
| 索引用語 | 腹部膨満, 腹痛 |