セッション情報 ワークショップ4(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

腹部超音波検診の現状と展望

タイトル 検W4-4:

健診センターの腹部超音波スクリーニング検査からみた問題点

演者 西 潤子(NTT西日本九州病院・放射線科)
共同演者 牧野 泰博(NTT西日本九州病院・健診センター), 土亀 直俊(熊本県総合保健センター)
抄録 当院健診センターにおける平成21年度腹部超音波検査受診者数は4629名(男性4094名、女性535名)、平均年齢は男性53.01歳、女性51.86歳であった。要精検となった総数は226名、要精検率は4.9%で、精検受診率は51.3%と低かった。一方で熊本県総合保健センターにおける平成21年度の腹部超音波検査受診者数は47028名であり、要精検の総数は3378名、要精検率は7.18%にのぼっていた。精検受診者数は2191人であり、精検受診率は65%と施設間でのばらつきが認められた。また、要精検で多かったのは肝腫瘍疑い、胆嚢壁肥厚、胆石であったが、肝腫瘍のほとんどは血管腫であり、胆石にて胆嚢摘出された症例はあるものの、発見された悪性疾患は腎細胞癌2例、胆嚢癌1例(0.064%)と低い頻度にとどまっている。これに対し、腹部超音波検査における有所見率は当院においても73.9%と非常に高い。しかし、有所見率が高い脂肪肝においても脂肪肝のみで精密検査となることはない。脂肪肝と判定された1338名中13名(0.97%)がAST>80の肝機能異常を呈し、一定の関連性は示唆されたが、全受診者中AST>80の肝機能異常を呈した男性21人中脂肪肝を認めたのは12名と少なく、血液dataを含めての検討の重要性を認識した。 今後超音波スクリーニング検査の有効性、効率性を高めるためには、精度管理、受診勧奨にての施設間の較差を是正する必要性と同時に、所見の基準も統一し、高い有所見率の中で効率よく精密検査に導くための判定基準の重要性、血液dataや問診、診察、過去の検査歴との対比を含めての検討が必要とされると痛感した。
索引用語 腹部超音波検査, 健診