セッション情報 ワークショップ4(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

腹部超音波検診の現状と展望

タイトル 検W4-5:

消化器超音波検診基準の歴史と経緯

演者 小島 正久(関東中央病院・健康管理科)
共同演者
抄録 日本消化器がん検診学会で超音波集診の基準化への取り組みは消化器超音波集検懇話会が中心となり参加施設と過去4年間の文献的調査を行い、1988年5月の第7回懇話会にて基準案が作成され、消化器超音波集検委員会(大柴三郎委員長)に報告された。超音波集検委員会で検討の上1990年9月学会誌88号に超音波委員会報告として発表された。この報告には1目的、2対象、3方法、4成績・報告、5精密検査、6事後管理が記載されているが各施設の独自性を尊重し、詳細については殆どが施設に任されている。ここで具体的に記載されているのは対象は30歳以上で、肝・胆・膵・腎・脾の5臓器、走査時間は4~10分(平均6分)、撮影枚数は10~12断面という点で、他は抽象的表現にとどまっている。対象疾患は列挙されているが所見の判定については医師や技師に任されている。この基準に沿ってその後の超音波検診が行われているが、施設の独自性を尊重しすぎたきらいもあり、超音波検診の精度はバラつきが多かった。その後超音波検診の精度向上をめざすには検診の担当者である技師の教育が重要とされ、各支部に超音波部会が設立されたが、ここで新たに超音波検診基準の見直しが必要となってきた。超音波機器や画像保存技術が進歩し、当初の基準では実情に合わず、何よりも最も大切な所見の判定基準を統一しなければ精度管理の向上は見込めないためであった。2006年総会におけるパネルディスカッション「超音波検診のガイドラインを目指して」を皮切りに、4年連続で新基準案が討議され、最後のまとめとして2009年に判定基準を作成するワーキンググループ(田中幸子委員長)が作られた。まず判定方法はそれまでの主流であった人間ドック学会のA~E判定をやめ、癌検診としての統計を取りやすいカテゴリー分類を採用した。ただ超音波検診は癌だけでなく胆石等の良性疾患も対象でカテゴリー分類は2でも要治療があり、判定と事後指導が一致しないことがあるため二重の手間を要することになった。また病名ではなく癌及び高危険群を拾い上げるのに必要な所見を基に判定基準が作成された。
索引用語 超音波検診基準, 超音波所見の判定基準