セッション情報 シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

胆膵疾患に対するtherapeutic EUSの現状(EUS-FNA を除く)

タイトル 内S16-9追:

EUSガイド下経胃経肝的胆道ドレナージ術における安全なステント選択-術前CTによる予想穿刺ラインの設定

演者 比佐 岳史(佐久総合病院・内科)
共同演者 古武 昌幸(佐久総合病院・内科), 高松 正人(佐久総合病院・内科)
抄録 【目的】EUSガイド下経胃経肝的胆道ドレナージ術(EUS-HGS)は経乳頭的あるいは経皮経肝的胆道ドレナージ術の代替法として有用であるが、ステント逸脱による重篤な偶発症が報告されている。本検討の目的はEUS-HGSにおける安全なステント選択の方策を考察することである。
【方法】当院にてEUS-HGSを施行し、ステント留置に成功した13例(悪性12例、良性1例)を対象とした。穿刺胆管(穿刺部位)はB2が1例(食道胃接合部付近の噴門部)、B3が12例(胃体上部小弯~前壁)であった。初回留置ステントはプラスチックステント(PS)11例、Fully covered metallic stent(FCSEMS)2例であった。術後1週間以内の偶発症、ステント種類別の開存期間、B3留置12例におけるCT所見を検討した。
【結果】偶発症:B2へ7F/7cm-PSを留置した1例は、術翌日にPS消化管側端が縦隔内に逸脱し緊急手術となった。呼吸性変動の大きな部位への穿刺に加え、PS肝側端が肝門部胆管狭窄内に固定されたことがPS逸脱の原因と考えられた。開存期間:PS、Uncovered SEMS、Partially covered SEMS、FCSEMSにおける閉塞ステント数/使用ステント数は8/22、1/1、1/3、0/5であり、開存期間の中央値(範囲)は28(6~77)、31(31)、83(61~101)、99(42~124)日であった。UCSEMS、PCSEMSの閉塞原因は非被覆部の肉芽組織の増殖によるものであった。PCSEMS/FCSEMSによる分枝閉塞による胆管炎は認められなかった。CT所見:腹部手術既往を有する8例中3例に胃壁と肝左葉との癒着を認めた。穿刺ライン上の胃壁内腔からB3内腔までの距離の中央値は、癒着あり群で40mm(36~48mm)、癒着なし群で72mm(58~82mm)であった。B3長軸像とステント長軸像の間の角度は50~65度(中央値52.5度)であった。
【結語】B3に対するEUS-HGSにおいて、術前CTは予想穿刺ラインを設定することが可能で、適切なステント長決定に寄与すると考えられる。一期的あるいは二期的なFCSEMS留置を安全に施行可能である。
索引用語 EUS, 胆道ドレナージ