抄録 |
【はじめに】脂肪肝には脂肪性肝炎となり肝硬変へ進行するNASHが含まれるが検診での鑑別が難しい。今回我々は脂肪肝群に肝腫大と脂肪化の新たな指標を取り入れ脂肪肝分類が可能であるか検討を行ったので報告する。【対象】2011年1月から2011年4月に腹部超音波を施行し脂肪肝所見を得た31歳から77歳までの男女89例。【方法】肝腫大は左葉75mm以上右葉125mm以上を腫大あり、皮下脂肪と内臓脂肪を測定10mm以上を肥厚ありとした。さらにBMI、腹囲、血圧、生化学検査を測定、CTを実施した39例について内臓脂肪面積を測定した。【結果】肝腫大群37名/89名(42%)/腫大なし52名(58%)で比較すると、血圧125/133、BMI23.1 /26.7,腹囲84/94,内臓脂肪面積(cm2)120/137,皮下脂肪面積129/166と高値であった。さらにAST(IU/L)26/37 ,ALT22 /44 ,γGTP41/67中性脂肪(mg/dl)113/144血糖102/113 ,HbA1c(%)5.4/5.7と高値を示した。脂肪厚の比較では正常群34名/89名(38%)/皮下脂肪肥厚群43名/89名(48%)/内臓脂肪肥厚群34名/89名(38%)であり、血圧124/130/128、BMI23.3 /24.9/26.1、腹位84/90/92,内臓脂肪面積(cm2)120/120/140、皮下脂肪面積110/182/169と高値であった。さらにAST(IU/L)24/30/35 ,ALT;21/34/38,γGTP;39/42/58 LDLコレステロール(mg/dl)116/124/128血糖100/110/105 ,HbA1c(%)5.3/5.7/5.5といずれも高値を示した。CT脂肪面積と皮下脂肪厚でr=0.37内臓脂肪厚ではr=0.44と有意な相関が見られた。【考察】肝腫大群は肝機能や血糖値やHbA1cも基準値上限であった。脂肪厚測定はCT内臓脂肪面積とで相関が見られ脂肪肥厚群も腹囲・BMIが基準値を越え肝機能や血糖、HbA1cも上限であった。 腹部超音波で肝腫大や脂肪厚測定を加え脂肪肝を分類できれば、個別保健指導が必要な群の選別が可能になる。【結語】腹部超音波での脂肪肝診断時に肝腫大や脂肪厚肥厚の評価を加えた新たな指標は、保健指導を行う契機となり生活習慣病発症予防に貢献できる。 |