セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
37:急性増悪に伴う中毒性巨大結腸症に対し、保存的に加療し得た潰瘍性大腸炎の一症例
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演者 |
有賀 元(国立精神・神経センター 国府台病院 消化器科) |
共同演者 |
天野 智文(国立精神・神経センター 国府台病院 消化器科), 上原 広嗣(国立精神・神経センター 国府台病院 消化器科), 藤田 浩司(国立精神・神経センター 国府台病院 消化器科), 真坂 彰(国立精神・神経センター 国府台病院 消化器科), 松枝 啓(国立精神・神経センター 国府台病院 消化器科) |
抄録 |
【緒言】中毒性巨大結腸症は潰瘍性大腸炎(UC)に稀にみられる合併症の一つであり、穿孔した時には生命の危機にさらされるため、多くの場合は結腸切除術が選択される。今回我々は保存的に加療された中毒性巨大結腸症を経験したので、文献的考察を加え報告する。【症例】2年前から皮膚筋炎にて当院皮膚科へ通院中の38歳、女性。血便を主訴に当科を紹介受診、大腸内視鏡検査で直腸にびらん性の変化を認め、病理結果よりUCと診断され治療開始となった。一時期症状は改善傾向にあったが、感冒様症状から発熱・紅斑などを伴うウイルス感染症と考えられる疾患に罹患後に、血便などUCの症状も再燃し入院となった。【経過】第7病日に皮診は消褪傾向となった一方で、UCの症状は増悪し腹部膨満感も出現、腹部レントゲンで最大横経10cmを超える大腸の拡張を横行結腸から遠位側に認める様になった。UCに伴う巨大結腸症を来した状態と判断されたが、腹部レントゲンでは大腸のハウストラは消失しておらず、壁も浮腫状の肥厚像を認めることより保存的加療を選択、第8病日よりプレドニゾロン(PSL)を40mgへ増量し、腸管の減圧目的に腸管内のガス抜きを頻回に行った。CRPは最高値34.5mg/dLまで上昇し、状態は一進一退を繰り返したが、症状・データ共に徐々に改善しPSLも漸減、第69病日からは食事を開始、その後も再燃なく緩解を維持している。【考察】中毒性巨大結腸症の治療に関しては、外科的治療を選択されることが多いが、保存的治療としてステロイドの動注や免疫抑制剤の有効性も報告されている。しかしながら、一方で様々なウイルスや細菌による腸炎が原因で中毒性巨大結腸症を来すことも知られており、その場合は保存的治療が病状を更に悪化させる可能性もある。従って、特に本症例の様にウイルス感染の存在が疑われた場合には、身体所見や各種検査所見、レントゲンでの腸管像の特徴などから病状を的確に判断し、治療法を経時的に選択・変更することが必要と考えられる。 |
索引用語 |
中毒性巨大結腸症, 潰瘍性大腸炎 |