セッション情報 ワークショップ4(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

腹部超音波検診の現状と展望

タイトル 消W4-10:

脂肪肝超音波評価法UFLシステム(Grading System for ultrasonographic findings of fatty liver)の有用性

演者 濱口 真英(大阪大免疫学フロンティア研究センター)
共同演者 小島 孝雄(朝日大村上記念病院・消化器内科), 大洞 昭博(朝日大村上記念病院・消化器内科)
抄録 【目的】近年、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)が肝細胞癌、肝硬変の基礎疾患としてのみならず心血管事故の危険因子として注目されている。NAFLD の診断として本邦では腹部超音波検査が広く行われ、検査所見に応じて、軽度・高度脂肪肝と呼称されるが、明らかな診断基準はない。 UFL Systemとは、 脂肪肝の超音波所見として高輝度肝・肝腎エコーコントラスト、深部減衰、肝静脈不明瞭化に点数をつけ、その合計で脂肪肝を段階的に評価する我々が考案した方法であり、軽度・高度脂肪肝に標準化して評価できる(Am J Gastroenterol 2007;102(12):2708―15.)。今回我々は、UFLシステムによる腹部肥満の評価について検討した。【方法】UFLシステムの信頼度はCohen’s kappaで評価した。肝生検を受けた94名に対し、UFLシステムの脂肪肝に対する診断能をAUC、感度、特異度で評価した。腹部超音波検査と腹部CTを531名に実施し、UFLシステムと腹部内臓脂肪面積、肝脾CT値比と比較検討した。腹部内臓脂肪面積≧100cm2を内蔵肥満、NAFLDを肝脾CT値比<1.1と定義した。【成績】UFLシステムの観察者内信頼度は0.95、観察者間信頼度は0.95と非常に高く、脂肪肝に対する診断能はAUC 0.980、感度91.7% (95% CI 87.0ー95.1, P<0.001)、 特異度 100% (95% CI 95.4ー100.0, P<0.001)と十分なものであった。腹部内臓脂肪面積に対する相関係数はUFLシステムが0.727(P<0.001)、肝脾CT値比が-0.352(P<0.001)であり、内蔵肥満に対する診断能は、UFLシステムが感度45.6%、特異度97.2%、 肝脾CT値比が感度38.4%、特異度87.1%とUFLシステムの方が有用であった。【結論】UFLシステムは腹部内臓脂肪面積とも相関し、内蔵肥満を評価するうえでも有用であった。UFLシステムは腹部超音波検査の所見を点数化するのみの簡便な方法であり、脂肪肝の段階的評価を標準化する非常に有用な方法であると思われる。
索引用語 脂肪肝, 超音波