セッション情報 ワークショップ5(肝臓学会・消化器病学会合同)

非B非C肝炎ウイルスによる肝障害

タイトル 肝W5-4:

経口型肝炎ウイルス肝炎の臨床病理学的比較検討

演者 児玉 和久(東京女子医大・消化器内科)
共同演者 徳重 克年(東京女子医大・消化器内科), 橋本 悦子(東京女子医大・消化器内科)
抄録 【はじめに】近年、E型肝炎(E型)の国内感染例が相次いで報告されており、その病態を明らかにすることが必要である。今回、経口型肝炎ウイルスA型肝炎(A型)と比較検討したので報告する。【対象・方法】1999年以降に当院で経験したA型40例とE型3例を対象とし、その特徴と両者の比較検討を行った。【結果】臨床病理像:A型は男性70%、平均年齢42歳であった。E型は全例男性で、年齢は47歳2例、56歳1例であった。感染源はA型で牡蠣11例、刺身3例、二枚貝1例、不明17例で、7例は海外渡航直後であった。また、E型は豚レバー2例、生鹿肉1例であった。臨床症状は38℃以上の発熱(A型92.5%,E型0%)、嘔気(32.5%,100%)、倦怠感(95%,100%)、食欲低下(62.5%,66%)、尿黄染(60%,33%)、咽頭痛(17.5%,0%)、下痢(15%,0%)、上腹部痛(32.5%,33%)であった。血液データ(各ピーク値):T-Bil (8.8±6.0,4.7±3.0)mg/dl、AST(2640±3010 ,1768±652)IU/l、ALT(2736±1937, 2857±646)IU/l、ALP (749±452,650±111)IU/l、γGTP (472±299,439±178)IU/l、Cr 1.2以上の頻度(10%,0%)、WBC (6782±3413,4996±1080)/μl、異型リンパ球 (5.91±6.96,0.33±0.57)%、PT (73.1±23.1,93.2±11.7)%であった。E型の臨床症状はA型と比較して、有意差があった因子として、発熱を認めない割合が有意に多く(p=0.002)、異型リンパ球の割合が有意に少なかった。(p=0.038)【結語】A型とE型は血液データが類似していた。しかし、E型は(1)感染源が生肉摂取、(2)発熱を認める頻度が低い、(3)異型リンパ球の出現頻度が低いことなどの特徴があることが明らかとなった。
索引用語 E型肝炎, A型肝炎