セッション情報 | ワークショップ5(肝臓学会・消化器病学会合同)非B非C肝炎ウイルスによる肝障害 |
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タイトル | 肝W5-7:函館地区E型肝炎の実態 -函館4病院における後方視的症例探索から- |
演者 | 梅村 真知子(市立札幌病院・消化器内科) |
共同演者 | 山本 義也(市立函館病院・消化器病センター), 矢和田 敦(函館五稜郭病院・消化器内科) |
抄録 | 【目的】北海道はHEV高侵淫地域とみなされている.函館市内には比較的大規模な医療施設が集中し渡島地方44.9万人をその医療圏としているが,地域的なHEV感染実態は不明である.函館市内4病院(計2077床)は北海道E型肝炎研究会に2007年発足当時から参加し,診療経験を蓄積してきた.函館地域E型肝炎の実態解明を目的とした. 【方法】07~010年の4年間に函館市内4病院で診断したE型肝炎症例を対象とした.HEV感染の診断はPCRによるHEV RNA陽性または抗HEV IgM, A陽性に拠り,分離されたHEV genome遺伝子系解析を行った. 【成績】市内4施設で診断されたE型肝炎は13例であった.12例がRNA陽性(genotype 4 9例,同3 2例,不明 1例)1例はRNA陰性,抗HEV IgM,IgA陽性を示した.5例は献血者HEV screening陽性として紹介受診した.臨床病型は通常型9例,重症型1例,劇症型3例であり,劇症2例は死亡した.畜産,食肉加工に関連する職業的背景を認めず,3例で豚内臓肉摂取歴が確認された.遺伝子系統解析では,07~010年の6例(うち劇症1例, 重症1例)から分離されたgenotype4株は北見網走株に,010年劇症2例に由来する株は09年秋札幌小流行起因新札幌株に近縁であった. 【結論】函館地区ではgenotype 3,4によりE型肝炎が散発しており,北見網走株,新札幌株による重症化例が目立った.地域固有な感染経路はみいだせず職業,食肉嗜好等の共通点に乏しかった.地域外から函館地区内に広く流通する汚染食品を通じ,散発的なHEV感染が引き起こされている可能性が想定された. |
索引用語 | E型肝炎, 非B非C肝炎 |