セッション情報 ワークショップ5(肝臓学会・消化器病学会合同)

非B非C肝炎ウイルスによる肝障害

タイトル 消W5-8:

健常成人の肝障害ウィルスとしてのEBウィルスとサイトメガロウィルス

演者 本合 泰(市立枚方市民病院)
共同演者 藤原 新也(市立枚方市民病院), 阿部 洋介(市立枚方市民病院)
抄録 【目的】非B非C肝炎ウィルス以外の肝障害の原因としてEBウィルス(EBV)とサイトメガロウィルス(CMV)が挙げられるが、健常成人では感染既往がほとんどであり初感染の実態はつかめていないのが現状である。2009年4月から2011年2月まで両ウィルスの検査がなされた健常成人症例を対象にして、肝障害の原因としての両ウィルスの現状を把握し、両ウィルス肝炎の臨床経過を検討する。【対象と方法】対象は2009年4月から2011年2月までの間にA,B,C型の急性肝炎が否定され、原因確定のためEBVとCMVの検査がなされた84例である。【成績】肝障害の原因は薬剤性19例(22.6%)、原因不明12例(14.3%)、EBV肝炎11例(13.1%)、総胆管結石9例(10.7%)、自己免疫性肝炎8例(9.5%)、NAFLD8例(9.5%)、CMV肝炎7例(8.3%)、アルコール6例(7.1%)、甲状腺機能異常2例(0.2%)、熱中症1例(0.1%)であった。EBV肝炎は11例であり、男女比は4:7、平均年齢は23.0歳であった。ALTのピークは平均453.2であり、ピークから平均15.5日でALTは正常化した。血球貪食症候群など重篤化する症例はなかった。CMV肝炎は7例であり、男女比は1:6、平均年齢は37.6歳であった。肝障害の遷延化や、増悪のため4例にガンシクロビル(GCV)を投与した。GCV投与例ではALTのピークは平均453.2であり、ピークから平均15.5日でALTは正常化した。GCV非投与例ではALTのピークは平均419.0であり、GCV投与後に軽快するが、ALTの正常化は平均36.5日であった。【結論】乳幼児期に感染し抗体を持つとされるEBV,CMVの肝障害の実態を検討した。EBV肝炎は非B非C肝炎の13.1%にみられ、低年齢層に多く、すみやかに軽快する。CMV肝炎は非B非C肝炎の8.3%にみられ、EBV肝炎に比し罹患年齢が高く、肝障害が遷延化する傾向がある。遷延化や増悪例にGCV投与は有用である。
索引用語 EBV, CMV