セッション情報 |
ワークショップ5(肝臓学会・消化器病学会合同)
非B非C肝炎ウイルスによる肝障害
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タイトル |
肝W5-10:非B非C肝炎ウイルスによる急性肝障害の実態
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演者 |
高木 章乃夫(岡山大・消化器・肝臓内科学) |
共同演者 |
前田 嘉信(岡山大病院・血液・腫瘍内科), 山下 信子(岡山大病院・小児科) |
抄録 |
【目的】非B非C肝炎ウイルス感染症の中で、現在、日常診療上問題となっている主な病態は急性肝障害が主体と思われる。当院は肝移植施設であり、重症例を中心に紹介患者がある。重症肝障害を来たす非B非Cウイルス性肝炎の最近の動向として、当院における最近5年間の急性肝炎症例をまとめて報告する。【方法】2006年から2010年12月までに当院にて入院加療を行った急性肝炎48例(うち21例は劇症肝炎)を対象に経過をまとめた。【結果】48症例の内訳はB型肝炎18例(内5例はDenovo)、薬剤性肝障害9例、自己免疫性肝炎3例、C型肝炎2例、非B非Cウイルス性肝炎11例、原因不明5例であった。非B非Cウイルス性肝炎11例の内訳はEBV感染5例、A型肝炎4例、E型肝炎2例、であった。A型肝炎・E型肝炎は劇症化した症例はなく、A型肝炎の一例でステロイドを使用した以外は保存的に改善した。EBV感染例では成人の3例は保存的加療で改善したが、4歳、16歳の慢性活動性EBV感染と考えられる2例は劇症化した。4歳の症例は当院転院時に急速に進行する脳浮腫があり、原因不明の劇症肝炎の診断にて入院当日緊急生体肝移植を行った。しかし、移植後にも高度肝障害続き、骨髄穿刺にて血球貪食像も認め、末梢血よりEBV-DNAを検出、慢性活動性EBV感染と診断した。化学療法も行ったが、感染合併症で死亡した。16歳の症例は、当院転院後慢性活動性EBV感染と診断が下され、血液内科にて化学療法を行い、末梢血幹細胞移植を行い寛解導入可能であった。【結論】A型・E型肝炎は重症例が紹介されてくる当院においても予後良好であった。移植医療の発達に伴い、小児の劇症肝炎例も紹介される機会が増え、消化器内科医も小児科・外科と協力して診療にあたるようになってきている。EBV感染による劇症化症例については全身化学療法が必要であり、消化器内科医も十分留意しておかねばならない。 |
索引用語 |
急性肝炎, EBV |