セッション情報 |
ワークショップ5(肝臓学会・消化器病学会合同)
非B非C肝炎ウイルスによる肝障害
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タイトル |
肝W5-11:成因不明の急性肝不全における非B非C肝炎ウイルス感染の関与
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演者 |
中山 伸朗(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科) |
共同演者 |
桶谷 真(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 持田 智(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科) |
抄録 |
【目的】我が国の劇症肝炎およびLOHFは,31%の症例で成因が不明である。我々はデータマイニングの自己組織化マップ(SOM)法により,急性肝不全例のクラスタリングを行い,従来の病型分類とは異なる3群に分類されることを報告した。全体の40%を占めるクラスターI群は,その51%がウイルス性,30%が成因不明例だが,ウイルス性の大部分はA,B,E型肝炎ウイルスの急性感染例であった。従って,このクラスターの成因不明例では未知の肝炎ウイルス感染に起因する可能性がある。そこで,これら成因不明例の特徴を解析した。【方法】全国集計に登録された1998-2007年発症の劇症肝炎 938例(急性型471例,亜急性型467例)およびLOHF 82例のクラスタリングでI群に分類された症例を対象に臨床所見を解析し,更にII度以上の脳症発症時のデータを基に,Intelligent Miner(IBM)を用いて個々の症例で該当するクラスターを判定する決定木法モデルを作成した。【成績】(1) I群の30%を占める成因不明124例は,急性型33%,亜急性型63%,LOHF 4%で,男:女=59例:65例でほぼ同数,年齢(平均±SD)は39±18歳で他のクラスターに比して有意に若年であった。脳症出現時のALT(平均)は1,647 IU/Lで他のクラスターに比して高値,T-Bilは14.9 mg/dLで低値であった。肝萎縮は59%で認められたが,感染,腎不全,DICなどの合併症の頻度が低率,肝移植は55%で施行され,非施行例でも救命率96%で予後は良好であった。(2)決定木法でI群に分類される症例の頻度が最も高率(86%)であったのは,38.5歳以下で脳症出現時のALTが606 IU/L以上,かつ腎障害とDICが認められない症例の分類されるリーフであった。【考案と結語】クラスターI群の成因不明例は比較的若年で脳症出現時のALTが高値,T-Bilは低値で合併症の頻度が低く予後良好であった。決定木法で,これらの特徴を有するリーフに分類される成因不明例は非B非C型肝炎ウイルス感染を想定し,成因ウイルスを探求する価値があると考えられた。 |
索引用語 |
劇症肝炎, データマイニング |