セッション情報 ワークショップ6(肝臓学会・消化器病学会合同)

全身疾患における肝病変

タイトル 消W6-4:

IgG4関連全身疾患の肝胆道病変-IgG4関連硬化性胆管炎と原発性硬化性胆管炎の比較-

演者 内藤 格(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
共同演者 中沢 貴宏(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 城 卓志(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
抄録 【目的】近年、その疾患概念が定着しつつあるIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)はIgG4関連全身疾患の肝胆道病変と考えられている。一方で自己免疫性肝胆道疾患のひとつとされている原発性硬化性胆管炎(PSC)との鑑別は時に困難であるが、両者は治療法、予後が異なるため、適切な鑑別診断が重要である。今回、IgG4-SCはIgG4関連全身疾患であるという観点から両者の相違点を明らかにする目的で検討を行なった。【方法】IgG4-SC62例、PSC40例を対象とし、その血液像、肝生検像、他臓器病変について比較検討を行なった。【成績】1)血液像:IgG4値はIgG4-SC 617±752mg/dl、PSC 50±45 mg/dl とIgG4-SCで有意に高値であり(p<0.001)、IgG4高値(>135mg/dL)はIgG4-SC87%、PSC5%に認め、IgG4-SCで有意に高頻度であった(p<0.001)。2) 肝生検像:IgG4-SCではIgG4染色にてPSCより有意に多数のIgG4陽性形質細胞浸潤を認めた(7.2個vs0.4個/強拡大1視野;p<0.001)。3)他臓器病変:IgG4-SCの他臓器病変として自己免疫性膵炎(AIP)を59例(95%)、硬化性唾液腺炎を11例(18%)、後腹膜線維症を8例(13%)に認めたが、PSCでは上記3病変とも認めず、IgG4-SCで有意に高頻度にAIPを認めた(p<0.001)。また、炎症性腸疾患(IBD)の合併はIgG4-SC0%、PSC67%とPSCで有意に高頻度であり (p<0.001)、PSCに合併したIBDは無症状(50%)、右側有意の潰瘍性大腸炎(43%)という特徴的な所見を呈した。【結論】IgG4-SCはIgG4関連全身疾患の肝胆道病変と考えられ、PSCとの鑑別には血中IgG4、IgG4染色を用いた肝生検像に着目することが有用であった。さらに全身疾患の観点から特徴的な他臓器病変に着目して、鑑別診断を行うことが重要であると考えられた。
索引用語 IgG4関連硬化性胆管炎, 原発性硬化性胆管炎