セッション情報 ワークショップ6(肝臓学会・消化器病学会合同)

全身疾患における肝病変

タイトル 消W6-8:

C型慢性肝炎に対するリバビリン・インターフェロン併用療法における血小板減少はHelicobacter pylori感染の有無に関連する

演者 池澤 和人(筑波記念病院・消化器内科)
共同演者 兵頭 一之介(筑波大大学院・消化器内科学), 相川 達也(相川内科病院)
抄録 【背景と目的】リバビリン・インターフェロン(PEG-IFN+RBV)併用療法は、C型慢性肝炎に対する標準的な治療法である。しかしその経過中には、血小板(PLT)数がほぼ全例で減少する。PLTが減少すれば投与薬剤の減量が必要となり治療効果へ大きく影響を及ぼすため、可能な限りPLTを低下させない工夫が重要である。一方、Helicobacter pylori(HP)除菌療法は特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の第一選択治療と位置づけられるように、生体内でのPLT動態と様々な関連を有すると推測される。そこでPEG-IFN+RBV 併用療法施行中のPLT減少とHP 感染症の関連性を解析したので報告する。【方法】対象は、2008年10月以降にC型慢性肝炎と診断しPEG-IFN+RBV併用療法を施行した計39例。HP感染は、治療前の内視鏡検査時に採取した生検検体を用いた病理診断にて判定した。HP陽性群(16例)とHP陰性群(23例)の2群におけるIFN投与開始前のPLT数、および治療中に最も低下した時点でのPLT数に関して比較・検討を加えた。【結果】治療開始前のPLT平均値は、HP(+)群18.6万/μL、HP(-)群17.4万/μL、治療期間中PLT最小値の平均は、HP(+)群10.1万μL、HP(-)群11.4万/μLで、それぞれのPLT数には有意差を認めなかった。しかし、治療開始前PLT値が10万/μL以上の症例に限って検討を加えると、治療開始前のPLT平均値はHP(+)群18.6万/μL、HP(-)群18.9万/μL、治療期間中のPLT最小値の平均はHP(+)群10.1万μLに対してHP(-)群では12.4万/μLとなり、群間に有意差を認めた(P<0.03)。【結語】治療開始前PLT値が10万/μL以上のC型慢性肝炎患者に対するIFN治療中のPLT値は、HP感染の有無で減少の程度に有意な差があった。PEG-IFN+RBV併用療法における血小板の中止基準は5万/μLであり、できるだけ休薬を回避するためには治療前にHP感染診断を施行し、陽性であれば事前に除菌を行うことで、IFN治療の減量・休薬を回避できる可能性があると推察された。
索引用語 ヘリコバクターピロリ感染症, C型肝炎へのインターフェロン療法