セッション情報 シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

胆膵疾患に対するtherapeutic EUSの現状(EUS-FNA を除く)

タイトル 内S16-12追:

癌性疼痛に対するフェノールグリセリンを用いたEUS-CPNの検討

演者 石渡 裕俊(札幌医大・4内科)
共同演者 林 毅(札幌医大・4内科), 加藤 淳二(札幌医大・4内科)
抄録 【背景】癌性疼痛に対するEUSガイド下腹腔神経叢ブロック術(以下EUS-CPN)は、その有効性と安全性から近年本邦でもひろがりつつある手技である。通常エタノールを用いたブロック術が行われ、その有効率は61.5~89%、その持続期間は12週間程度持続する報告されているが、十分な持続効果が得られているとはいえない。CPN直後にCTを撮影すると、予想以上に薬液が広がってしまうことを経験する。そこで、フェノール液にグリセリンを混合し粘度を増すことにより薬液を目的部位に停滞させ、EUS-CPNに応用する方法を考案し検討することとした。【方法】安全性と薬液集積を評価するステップ1と、治療効果を評価する ステップ2の2段階の試験デザインとした。7%フェノール液を基本とし、ステップ1はA グリセリン0% 3例、B グリセリン30% 3例、Cグリセリン60% 3例へステップアップし、有害事象の発生頻度と、薬液集積を評価し、至適なグリセリン濃度を決定し、ステップ2へすすむ。ステップ1ではcentral CPNを、ステップ2ではbilateral CPNを行った。疼痛評価にはNRS(Numerical rating scale)を用い、除痛効果は1週間後に術前NRSを超えない場合を効果ありとした。CPNの適応はNRS3以上の癌性疼痛とした。フェノール液にはヨード造影剤を10%含有させ、CPN終了後30分以内にCTを撮影し、薬液の集積範囲を評価した。【結果】2011年5月から2012年3月までに9例の切除不能膵胆道癌患者にEUS-CPNを施行した。現在ステップ1が終了したところである。全例で重篤な有害事象は認めなかった。集積範囲の評価では、明らかに、グリセリン含有濃度が上昇するにつれて、腹腔動脈根部に集積がみられた。除痛効果はA 2/3、B 3/3、C 3/3であった。【まとめ】現在試験の途中であるが、今後60%グリセリンを含有した7%フェノール液にてステップ2に入り、本会にて結果とまとめて報告する。
索引用語 EUS-CPN, フェノール