セッション情報 ワークショップ7(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胃がん検診の新たな展開-細径内視鏡・胃X線検査を中心に-

タイトル 検W7-1:

大宮地区における胃がん個別X線検診の現状と今後の課題

演者 中野 真(大宮医師会胃がん検診委員会)
共同演者 三吉 博(大宮医師会胃がん検診委員会), 田畑 育男(大宮医師会胃がん検診委員会)
抄録 大宮地区の胃がん個別検診は平成8~21年度まで総発見がん569例、がん発見率0.27%と、先進地区に引けをとらない成績をあげているが、要精検率が高いこと(平成15年度14.8%)が大きな問題点であった。この主要因は全例に一次読影と二次読影を実施し、そのどちらかで要精検となっても精査を行うという大宮独自の方法をとっているためと考えられた。そこで、我々は適正な要精検率を10%以下と考え、次の二点を徹底実施した。1)一次医療機関毎の要精検率を調査し、平均の要精検率と併記連絡し、突出した施設に読影の再考をお願いした。2)読影基準(Category分類)を作成し、さらに読影結果にこの併記を義務付けた。これにより、要精検率は平成17年度以降10%以下を維持しており、がん発見率も0.20%以上を保っており、質を低下することなく要精検率の適正化が達成できた。しかし平成21年度より、胃個別検診は内視鏡が選択できるようになり、X線検診の受診者は2/3に減少した。今後も受診者の減少が予想され、また内視鏡検診のがん発見率、早期胃がん比率が明らかに高いことを考えると、X線検診の目的を存在診断から質的診断へと転換していく必要があると考えられる。そこで我々は背景胃粘膜に注目し、一医療機関の協力を得て316名のABC検診と背景胃粘膜の関係を調べた。個別検診であることを考慮し、背景胃粘膜の萎縮度を最も描出しやすい胃体中部後壁の胃小区像で推測した。胃小区を萎縮のないものを0群、高度萎縮を3群とし、4段階に分類したところ、3群は全体の8.5%であった。また、3群に分類されたものは、ABC検診のA群【HP(-),PG(-)】の1.5%、B群【HP(+),PG(-)】の9.2%、C,D群【PG(+)】の35.3%を占めており、背景胃粘膜による胃がん高危険度群設定の可能性が示唆された。この萎縮高度群を読影基準の要精査(Category 3)に加えると要精検率は10-14%に上昇することが予想され、category 2にして次回内視鏡検査を指示するかなどを検討していく予定である。
索引用語 背景胃粘膜, 胃がん個別X線検診