セッション情報 ワークショップ7(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胃がん検診の新たな展開-細径内視鏡・胃X線検査を中心に-

タイトル 検W7-2:

Helicobacter pylori感染を考慮した上部消化管X線検査の判定処置区分の検討

演者 宮脇 喜一郎(朝日大村上記念病院・消化器内科)
共同演者 加藤 隆弘(朝日大村上記念病院・消化器内科), 小島 孝雄(朝日大村上記念病院・消化器内科)
抄録 【背景と目的】Helicobacter pylori(以下HP)持続感染による胃粘膜の萎縮や腸上皮化生は胃癌の発生母地として重要である。今回、上部消化管直接X線(以下胃X線)像からHP感染による慢性胃炎診断の可能性と胃癌症例の背景胃粘膜を検討し、慢性胃炎の進展の評価に基いた処置区分の必要性について検討した。【対象と方法】(1)1994年12月より1996年9月までの当健診センター受診者のうち、胃癌、胃十二指腸潰瘍症例を除く145例について胃X線検査による腺萎縮境界型と胃底腺粘膜の襞の幅、胃底腺粘膜小区型より総合的なHP感染の診断率を求めた。(2)2004年1月から2009年12月までに当健診センターにて上部消化管X線検査を受けた56384人(男性:34494人、女性:21890人、平均年齢48.2歳)のうち、胃癌発見症例51例(0.09%)について、腺萎縮境界型を検討した。HP感染診断は血清HP IgG抗体(HM-CAP法)により測定した。背景胃粘膜所見として腺萎縮境界型(木村・竹本分類C1~O3の6分類、C1はHP陰性、C2~O3陽性)、襞の幅(4mm以上をHP陽性、4mm未満をHP陰性)、胃底腺粘膜小区型(F0型HP陰性,F1型HP陽性)の3所見に注目し、HP感染の診断率を求めた。【結果】(1)胃X線像による腺萎縮境界型は感度94.6%,特異度63.0%,襞の幅では感度93.9%,特異度62.5%,胃小区型では感度92.7%,特異度90.9%,総合的なHP感染の診断率は感度97.4%,特異度74.1%と良好であった。(2)発見胃癌51症例のうち、胃X線像で同定可能であった症例は48例であった(早期胃癌44例、進行胃癌4例、癌の局在は体上部1例、体中部5例、体下部11例、角部19例、前庭部12例)。胃癌症例の腺萎縮境界型はC1が0例、C2~O1が10例(21%)、O2~O3が38例(79%)と、胃癌はすべてHP感染陽性と推定される背景胃粘膜で認められた。【結論】(1)胃X線検査によるHP感染診断能は良好である。(2)胃癌健診ではHP感染の有無、慢性胃炎の進展の評価に基づき処置区分がなされるべきであり、腺境界萎縮が進展した症例では厳重な経過観察が必要である。
索引用語 上部消化管X線検査, Helicobacter pylori感染