セッション情報 |
ワークショップ7(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
胃がん検診の新たな展開-細径内視鏡・胃X線検査を中心に-
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タイトル |
検W7-3:胃がんX線検診における読影基準・処置区分の統一を目指して
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演者 |
渡辺 靖友(久留米大・消化器内科) |
共同演者 |
中原 慶太(久留米大・消化器内科), 松尾 健(久留米大・消化器内科) |
抄録 |
背景:胃がんX線検診精度管理における読影上の問題点として、全国統一された読影基準がないことがあげられる。画像精度に関しては新・胃X線撮影法の普及により、精度管理基盤が整いつつあるが、読影時の異常所見区分(描出度や良悪性の判定など)や処置区分(要精検の必要性)など、各地域・施設によって独自の裁量で行なわれているのが現状である。目的:救命可能な早期胃癌の拾い上げ能の読影精度向上をめざした読影基準の確立を目的とした。方法:1)異常所見:基本所見として、陰影斑、陰影欠損、ひだ異常、粘膜異常、辺縁線異常の5つとした。2)異常所見区分:存在診断;病変があるか否かの確実性であるが、実際のX線画像上において病変の描出度にはさまざまな段階がある。そこで、存在診断をA(描出度良好・確実)、B (AとCの中間)、C(描出度不良・不確実)、D(なし)の4段階とした。3)異常所見区分:質診断;病変の良性・悪性判定であるが、実際の読影では、ほぼ確実に癌と判定可能なものから、癌かどうか判定困難なものまで幅がある。そこで吉田・馬場分類に準じた5段階評価(5:悪性、4悪性疑い、3良悪性判定困難、2良性、1、異常なし)とした。4)処置区分:精検不要(逐年受診勧奨)、経過観察(医療機関または検診による)、要精検(二次検査)の3段階とした。異常所見区分を読影判定した後、いずれかを選択することとした。結果・考察:詳細は当日発表するが、全国的な標準化のためには、専門家以外の初学者や一般臨床医であっても実用可能なものが望まれる。さらに精度管理上、読影者がどのような読影を行なったのか、異常所見に対する良性・悪性の認識度を第三者が客観的に把握出来るようにすること、二次検査の際に有力な情報となり得ること、見直し検討の際に画像精度や読影上の問題点が把握しやすいこと、その結果をもとに適切な対策をたてられるものとした。結論:今回示した読影基準案は精度管理上有用と思われ、標準化できれば、今後の読影医の育成や全国的な読影精度格差解消が期待される。 |
索引用語 |
胃がんX線検診, X線読影基準 |