セッション情報 |
ワークショップ7(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
胃がん検診の新たな展開-細径内視鏡・胃X線検査を中心に-
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タイトル |
検W7-4:胃がんX線検診読影基準の試案 -陥凹型早期胃癌の所見用語-
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演者 |
吉田 諭史(早期胃癌検診協会中央診療所) |
共同演者 |
馬場 保昌(早期胃癌検診協会中央診療所) |
抄録 |
【背景】X線検査による胃がん検診は死亡率減少効果も証明されており,これからはその精度管理のありかたが問われている.現状の読影診断においては,各施設ないしは各読影医の裁量に任されている部分が多く,精度管理の基盤が整備されているとは言い難い.すなわち,所見用語,判定法,管理区分,およびその表記・表現の方法について一定の取り決めが必要となるように思う.【目的】陥凹型早期胃癌のX線所見を標準所見と参考所見に類別することで,多様なX線所見と用語の整理を試みる.【対象と方法】腫瘍径中央値を22mm(5-120),深達度をM癌181例(54.8%),SM1癌19例(5.8%),SM2癌130例(39.4%),組織型を分化型と未分化型が同数となるような陥凹型早期胃癌330例を対象とした.まず所見用語を網羅するために,陥凹面,陥凹境界,粘膜ひだの3指標別にX線所見を列記し集計した.次いで,陥凹面を顆粒状,凹凸,平滑,粘膜不整の4種,陥凹境界を粗大,波状,微細,棘状,顆粒状,不明瞭の6種のX線所見に集約し,面と境界の組み合わせ出現頻度を求めた.なお,本研究では残差分析法を用い,残差2.57以上を標準所見,2.57未満を参考所見とした.【結果】列記された所見用語は,陥凹面が31種類で最も多く,次いで陥凹境界が14種類,粘膜ひだが9種類であった.また,これらを集約した環境においては,陥凹境界と陥凹面の組み合わせが波状で顆粒状であったもの(以下,波状×顆粒状と表記),粗大×顆粒状,棘状×平滑,顆粒状×凹凸不整,不明瞭×粘膜不整であったものが標準所見群に分別された.標準所見群は46.1%(330例中152例),参考所見群は53.9%(330例中178例)であった.なお,標準所見群,参考所見群ともに癌組織型(分化型,未分化型)の割合は同等であり,腫瘍径,深達度ともに有意差は認められなかった.【考察】多様なX線所見と用語であっても,数種類の基本的な所見用語に集約することで実用的な読影基準を構築できる可能性がある.ただし,所見用語を集約した場合の妥当性を評価する必要がある. |
索引用語 |
読影基準, 早期胃癌 |