セッション情報 ワークショップ7(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胃がん検診の新たな展開-細径内視鏡・胃X線検査を中心に-

タイトル 内W7-7:

経鼻内視鏡検査における適応型IHb色彩強調画像観察の有用性

演者 北岡 修二(国立京都医療センター・健診部)
共同演者 前川 高天(国立京都医療センター・健診部), 勝島 慎二(国立京都医療センター・消化器科)
抄録 【目的】我々は、極細径内視鏡を用いた経鼻内視鏡検査における構造強調画像観察(以下、構造)や近接観察の有用性を報告してきた。今回これらに加えて、適応型IHb(index of hemoglobin)色彩強調画像観察(以下、色彩)の有用性について検討した。【方法】対象は平成20年4月から平成23年2月までに当院健診センターで施行した経鼻内視鏡検診(以下、経鼻検診)受診者のうち、過去3年以内に同一検者による経口内視鏡検診(以下、経口検診)を経験した受診者235名。経鼻検診はOlympus社製 XP260Nを、経口検診は同社製Q260/H260を使用した。経鼻検診は、前期群(65名):構造A1色彩0/測光オート、中期群(67名):構造A3色彩0/測光ピーク、後期群(103名):構造A3色彩5/測光ピーク、に設定し、前期群では経口検診と同程度の距離で、中期群、後期群では胃粘膜の集合細静脈(RAC)が視認できる程度の近接距離で観察した。以上、各群それぞれの診断能の検討のため、1)経口検診との検査所見(GERD:ロサンゼルス改変分類、内視鏡的胃粘膜萎縮:木村・竹本分類)の差異について各群を比較検討した。2)各群からそれぞれ10例(計30例)を無作為抽出し、各症例について経鼻・経口検診での同一部位の画像における識別可能なRACの合計数を画像解析ソフトにより解析し、統計学的に比較検討した。【成績】1)検査所見は、GERD:前期群では経口検診との所見一致率が75%であったが、中期群、後期群では有意差は認めないもののそれぞれ87%、88%と改善されていた。内視鏡的胃粘膜萎縮:前期群では経口検診との所見一致率が75%であったが、中期群は84%、後期群でも90%と改善されていた。2) 識別可能なRACの合計数は、前期群は8例、中期群では6例で経口検診が有意に上回っていたが(Wilcoxon検定、p<0.05)、後期群では差を認めなかった。【結論】極細径内視鏡を用いた経鼻内視鏡検査の診断能は、構造強調画像観察・近接観察に加えて、色彩強調画像観察を併用することで改善されることが示唆された。
索引用語 経鼻内視鏡, 色彩強調