セッション情報 ワークショップ7(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胃がん検診の新たな展開-細径内視鏡・胃X線検査を中心に-

タイトル 検W7-9:

経鼻内視鏡検査における生検時の操作性を向上させる工夫―SB生検鉗子の使用経験

演者 川田 和昭(静岡赤十字病院・経鼻内視鏡センター)
共同演者 吾川 弘之(静岡赤十字病院・経鼻内視鏡センター)
抄録 【目的】経鼻内視鏡検査に使用する極細径スコープは、細径化されたが故にいくつかのデメリットを抱えている。そのひとつが生検鉗子を挿入したときのアングル操作性の低下である。スコープの反転が十分に行えないため、噴門部や胃体部小弯が生検困難部位となってしまうのである。当センターでは経鼻内視鏡専用に開発されたSB生検鉗子(住友ベークライト社製)を2010年3月より導入し、反転しての生検時に使用している。今回はこのSB生検鉗子を用いた反転生検、および下行脚病変に対する生検の経験を報告する。【対象】2010年3月から2011年3月までにSB生検鉗子にて組織採取を行った69症例、86病変。【成績】生検部位の割合は噴門部20.8%、穹隆部4.2%、胃体部小弯40.3%、胃角部11.1%、前庭部小弯13.9%、および下行脚9.7%であった。86病変から120検体を採取、117検体(97.5%)は病理診断に問題ない検体量が採取されていた。GroupX(不適材料)とされた3検体は噴門部2検体、胃角部1検体であり、いずれも接線方向の生検となったものであった。【結論】経鼻内視鏡検査における生検困難部位の存在は、検査医にとって大きなストレスとなっていた。SB生検鉗子は経鼻内視鏡(極細径スコープ)専用に開発されたもので、先端の約30cmがとくに軟らかく作られている。これにより反転生検時にも通常観察時とほぼ同じアングルが得られるようになり、病変へのアプローチが容易になった。スコープが屈曲した状態の、下行脚病変の生検にも有用であった。また、小さいカップでも十分な検体量を挫滅なく採取できるような工夫も施されている。筆者らの経験では97.5%の検体が病理診断に十分なものであったが、接線方向での採取には注意を必要するのは従来と同じであった。極細径スコープのCCD解像度は確実に進歩し、その観察能も向上している。SB生検鉗子によって生検困難部位が解消されれば、経鼻内視鏡でも正確な観察・診断が行え、胃がん検診をはじめとするスクリーニングに活用できるものと考えられた。
索引用語 経鼻内視鏡, SB生検鉗子