セッション情報 ワークショップ7(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胃がん検診の新たな展開-細径内視鏡・胃X線検査を中心に-

タイトル 消W7-12:

新しい経鼻内視鏡および通常内視鏡検査による胃腫瘍発見率の比較検討-背景胃粘膜を考慮して-

演者 中田 博也(なかた消化器・内科クリニック)
共同演者 井口 幹崇(和歌山県立医大・2内科), 加藤 順(和歌山県立医大・2内科)
抄録 【目的】経鼻内視鏡検査は苦痛が少なく安全性も高い故に、受診者のコンプライアンスが良く内視鏡検診には最適である。ただし、明るさや解像度が劣るという欠点もあり診断能が落ちる可能性がある。我々は以前、Retrospectiveに第二から第三世代の経鼻内視鏡および通常内視鏡別に、胃腫瘍の発見率を比較検討し、H.pylori陽性で胃粘膜萎縮のない群(B群)では診断能が劣る可能性を指摘してきた。また最近の経鼻内視鏡のハード面での改善は著しく、最新の第四世代の経鼻内視鏡では、ほとんど通常内視鏡との画質面でのdisadvantageはなくなってきている。今回、新たに第四世代の最新経鼻内視鏡と通常内視鏡において、RCTで経鼻内視鏡によるスクリーニングの精度を検討した。【方法】2010年10月から当院で上部内視鏡検査を行った患者を対象とした。経鼻、通常検査の選択は基本的には患者の自由選択とした。経鼻、通常内視鏡別の希望のない対象をRandomizeに2群に振り分けた。通常群はOLYMPUS GIF-PQ260を用い、経鼻群では最新の第四世代のHOYA EG16K-10を使用した。背景胃粘膜はPG法、H.pylori抗体にて判定しA-D群に分類した。【成績】以前のRetorspeciveの検討では、胃癌は20例(1.10%)に認められ、Stage1:14例で比較的早期癌が多い傾向にあった。腺腫を9例に認めた。経鼻群で11/702例(1.57%)、経口群で18/1119例(1.61%)で両群間には有意差を認めなかった。次に背景胃粘膜別に比較するとA群では腫瘍を認めず、B群では経鼻群0.99%に対して通常群1.97%とやや高く、C群では各々3.33%、3.78%と有意差はなかった。今回のRCTによる検討では現時点においては、両群間には有意差を認めていない。【結論】最新の第四世代の経鼻内視鏡では、胃癌の発見率は、通常内視鏡と比較して劣ることはなかった。スクリーニングに関しては差がなく、安全性も高く、経鼻内視鏡の長所が遺憾なく発揮されており検診精度の更なる向上が期待される。
索引用語 経鼻内視鏡, 胃炎