セッション情報 |
ワークショップ8(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
肝疾患と幹細胞-炎症、再生、発癌まで-
|
タイトル |
肝W8-2:テトラサイクリン応答性HNF3β発現マウスiPS細胞の樹立
|
演者 |
星川 淑子(鳥取大大学院・遺伝子医療学) |
共同演者 |
手塚 祐太(鳥取大大学院・遺伝子医療学), 汐田 剛史(鳥取大大学院・遺伝子医療学) |
抄録 |
【目的】われわれは、間葉系幹細胞株にテトラサイクリン応答性HNF3β発現誘導系を構築し、これらの細胞が機能性肝細胞へ効率よく分化することを報告した。iPS細胞から機能性肝細胞への分化誘導においてもHNF3β発現誘導が有効であると期待される。本研究では、外来遺伝子のサイレンシングを回避するために、HNF3β発現誘導に必要な遺伝子群をマウスゲノムRosa26領域にノックインした。この結果、HNF3β発現誘導可能なマウスiPS細胞株を樹立したので報告する。【方法】テトラサイクリン制御によるHNF3β発現誘導に必要な遺伝子群をRosa26領域にノックインするためのプラスミドベクターを作成した。このプラスミドをマウスiPS細胞に導入後G418選択を行い、目的遺伝子群がRosa26領域に挿入されたiPS細胞株を得た。次いで、Cre発現プラスミドを一過性に導入しG418耐性遺伝子を除去することにより、Rosa26プロモーター制御下でテトラサイクリン応答性にHNF3βを発現するiPS細胞株を樹立した。【結果】G418選択により得られたiPS細胞株について、目的遺伝子群がRosa26領域第1イントロンに挿入されていることを、ゲノムDNAのPCR解析により確認した。Cre発現プラスミドの一過性導入より得られたiPS細胞株について、ドキシサイクリン添加によりHNF3β発現のマーカーとして用いたDsRedの発現が誘導されることを蛍光観察により確認した。さらに、HNF3βの発現をRT-PCRにより検討し、目的のiPS細胞株が得られたことを確認した。【結論】テトラサイクリン応答性にHNF3βを発現するマウスiPS細胞株を樹立した。この発現誘導系を用いることによりiPS細胞から肝細胞への分化誘導について詳細な検討が可能となった。機能性肝細胞への分化誘導メカニズムを明らかにすることにより肝再生医療への貢献が期待される。 |
索引用語 |
肝再生, iPS細胞 |