セッション情報 ワークショップ8(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

肝疾患と幹細胞-炎症、再生、発癌まで-

タイトル 外W8-6:

肝虚血再灌流傷害におけるヒト脂肪由来幹細胞 homing effectの機序解明

演者 齋藤 裕(徳島大・外科)
共同演者 島田 光生(徳島大・外科), 宇都宮 徹(徳島大・外科)
抄録 【目的】脂肪由来幹細胞 (ADRC) は、生体内投与後、虚血あるいは傷害組織に集積することが報告されている。今回我々は、肝切除(虚血再灌流)モデルヌードマウスにヒトADRCを投与した際、ADRCが残肝にhomingし肝傷害を軽減するという知見を得たので報告する。
【方法】6週齢雌性balb/c nu-nuマウスに15分全肝虚血下に70%肝切除(15 I/R+70%Hx)施行直後、ADRC(1.0×105 cells)を経静脈的に投与し、術後6hrの1) 血中肝機能、2) IVIS imaging system®を用いたADRCの体内動向、3) 免疫組織化学染色による残肝組織中のSDF-1発現を評価した。
【結果】
1) ADRC投与により術後血清肝機能が改善した。血清ALT 3380±601 v.s. 2772±457 U/I p=0.16、T-bil 1.01±0.68 v.s. 0.23±0.08 mg/dl p=0.05(ADRC非投与群n=4 v.s. ADRC投与群n=4)。
2) 経静脈的に投与されたADRCは残肝に強い集積を認めた。
3) 15 I/R+70%Hx後残肝には正常肝と比較して平均SDF-1陽性率/視野が有意に上昇していた。62.2±7.1 v.s. 5.4±1.9 % p<0.01。
【結語】肝切除(虚血再灌流)モデルヌードマウスにおいて、ADRCは肝組織中に発現したSDF-1を介してhomingし肝傷害を軽減する。
索引用語 脂肪由来幹細胞, 肝虚血再灌流傷害