セッション情報 シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

胆膵疾患に対するtherapeutic EUSの現状(EUS-FNA を除く)

タイトル 内S16-14追:

Interventional EUSを目的とした胆膵疾患再現モデルの開発

演者 塩見 英之(神戸大・消化器内科)
共同演者 杉本 真樹(神戸大・消化器内科), 東 健(神戸大・消化器内科)
抄録 【背景】Interventional EUSの手技は熟練を要し、未だ標準化されているとは言えず、技術とデバイスの標準化とともにトレーニングシステムの確立が必要である。【目的】胆膵interventional EUSを目的に大動物を用いた胆膵疾患再現モデルを作製し、臨床的意義ならびにトレーニングモデルとしての有用性を検証した。【方法】全麻開腹下に雌性ブタ(n=6)の胆管・膵管それぞれの十二指腸開口部を結紮することにより胆管・膵管閉塞モデルを作製し、閉塞性黄疸、閉塞性膵炎の再現モデルとしての有用性を評価した。さらに作製したモデルを用いてEUSの経験値が異なる4人の内視鏡医による腹腔内臓器の描出能ならびにEUSガイド下経消化管的胆管・膵管・胆嚢穿刺吸引術の手技達成率について評価検証した。【結果】胆膵疾患再現モデル作製3日後のEUS所見では、胆管拡張、胆嚢腫大を認め、膵管拡張や膵腫大も認めた。腹腔内臓器の描出においては、腹部大動脈より腹腔動脈、脾動脈もしくは門脈から脾静脈の走行を追うことにより膵体部を描出でき、門脈を指標にすることにより総胆管や胆嚢の描出が可能であった(n=6、描出率100%)。さらに胆管、膵管、胆嚢の十分な拡張が得られているため、経消化管的に胆管、膵管、胆嚢穿刺吸引術が施行可能であった(n=6、成功率100%)。経験値が異なる4人の内視鏡医による手技の達成率は様々であったが、施行回数を重ねることによって最終的に達成可能であった。【考察】本モデルは、炎症や悪性腫瘍における閉塞性黄疸や閉塞性膵炎などの疾患再現モデルとして意義があると考えられた。またEUSガイド下の診断や治療において再現性の高い実践的なモデルであり、手技の習得や教育に役立つことが期待できる。【結論】胆膵疾患再現モデルはinterventional EUSのシミュレーションとして有用であり、手技の標準化やトレーニングに利用できることが示唆された。
索引用語 interventional EUS, 胆膵疾患再現モデル