セッション情報 |
ワークショップ8(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
肝疾患と幹細胞-炎症、再生、発癌まで-
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タイトル |
消W8-7:骨髄細胞頻回投与による肝細胞がん合併肝硬変症に対する修復再生・抗腫瘍療法開発のための基礎研究
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演者 |
高見 太郎(山口大附属病院・検査部) |
共同演者 |
寺井 崇二(山口大・消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大・消化器病態内科学) |
抄録 |
【目的と目的】これまで我々は、肝細胞がんのない非代償性肝硬変症に対して「自己骨髄細胞投与(ABMi)療法」を多施設臨床研究として行い、その有効性と安全性を明らかにしてきた。しかし肝硬変症は高発がん状態であるため、「肝修復再生作用と発がん抑制とを併せ持つ新たな骨髄細胞療法」を開発する必要がある。そこで今回、骨髄細胞頻回投与の肝発がんへの関与をマウスモデルで検討した。【方法】生後2週オスマウス腹腔内へのN-nitrosodiethylamine(DEN)単回投与とDEN投与後1ヶ月からの四塩化炭素(CCl4)週2回反復投与により「肝硬変高発がんモデル(DEN/GFP-CCl4)」を作成した。これにDEN投与後2ヶ月から同種同系マウスGFP陽性骨髄細胞を尾静脈投与し(2週間毎、計5回、5×105個/回)、肝発がん動態を組織学的にDEN投与後4.5ヶ月のfociおよび腫瘍の発生率、個数とサイズで評価した。また肝内の酸化ストレスは肝8-OHdG量とSOD活性で、肝線維化はSirius-red染色で評価した。さらにDNA chip解析で網羅的に遺伝子発現を解析し、Bio-Plexにより血清TNF-αを定量した。【結果】FACS解析で投与骨髄細胞はCD45陽性36.8%、CD11b陽性18.9%、Thy1陽性8.5%のヘテロな細胞群であった。この骨髄細胞頻回投与により、fociおよび腫瘍(腺腫+肝細胞がん)の発生率は低く(foci/腫瘍;p<0.001/p<0.03)、個数も少なかった(p<0.01/p<0.001)。また肝線維化は抑制され(p=0.03)、肝8-OHdG量は0.85倍と低下し(p=0.005)、SOD活性は高く維持されていた(p<0.05)。さらにこの際、Th2サイトカインIL-5やMMP9の発現は亢進し(p<0.05)、かつ血清TNF-αは増加(3.1倍, p=0.03)していた。【結論】骨髄細胞の頻回投与は、肝内Re-dox状態を安定化させるだけでなくTh1サイトカインによる抗腫瘍免疫も賦活化することで抗線維化と発がん抑制に作用することが明らかとなったことから、肝硬変症に対する修復再生・抗腫瘍効果を併せ持つ新たな幹細胞療法となる可能性がある。 |
索引用語 |
肝発がん, 骨髄細胞 |