セッション情報 |
ワークショップ8(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
肝疾患と幹細胞-炎症、再生、発癌まで-
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タイトル |
肝W8-8:障害時肝再生と肝癌におけるNucleosteminの役割
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演者 |
守護 晴彦(金沢大がん進展制御研究所・遺伝子・染色体構築DELIMITER金沢大大学院・恒常性制御学) |
共同演者 |
金子 周一(金沢大大学院・恒常性制御学), 平尾 敦(金沢大がん進展制御研究所・遺伝子・染色体構築) |
抄録 |
【目的】本研究では組織幹細胞マーカーとして知られるNucleostemin(NS)が障害時の肝再生過程および肝癌増殖に必須であることについて検討した。【方法】成体マウスに70%肝切除やDDC食による肝障害を起こさせ、NSの発現を観察した。肝幹細胞/前駆細胞とNS発現との関係を評価する目的にNSプロモーター制御下にGFPを発現するNS-GFP Tgマウスを作成した。新生児肝および肝障害(DDC食)前後の成体肝をコラゲナーゼ処理により細胞を分離し、成体肝は遠心分離により非実質細胞分画を得た。分離した細胞は非血球細胞分画(CD45-TER119-)をFACSによって解析、単離し、培養培地にてコロニー形成能を評価した。またshRNAを用いてNSの発現を抑制下での肝幹細胞/前駆細胞や成熟肝細胞、肝癌細胞株の増殖能を観察した。【成績】成体マウス肝には成熟肝細胞にも広くNSの発現は認められたが、70%肝切除を施行すると肝細胞分裂以前にNSの発現上昇が認められた。胎児肝や新生児肝では少数のGFP強陽性細胞が肝細胞、胆管細胞への両分化能を有する著明なコロニー形成能を示した。成体肝では非実質細胞分画は3群に分けられ、GFP強陽性細胞集団のみが両分化能を有するコロニー形成能を認めた。DDC肝障害モデルでは肝細胞のGFPは減弱し、一方胆管周囲にGFP強発現細胞の出現を認め、FACS解析では非実質細胞分画において著明なコロニー形成能を有するGFP強陽性細胞集団は肝障害後に増加を認めた。肝幹細胞/前駆細胞、肝癌細胞株においてshRNAを用いてin vitro下にNS発現を抑制するとコロニー形成能は低下を認め、成体マウスでin vivo下にNS発現を抑制すると成熟肝細胞のNS細胞周期回転が低下した。【結論】NSは肝障害時の肝幹細胞/前駆細胞および肝細胞による肝再生や肝癌増殖に重要な役割を担っていると示唆される。 |
索引用語 |
Nucleostemin, 肝再生 |