セッション情報 一般演題

タイトル 28:

胃・副腎シャントを有する胃静脈瘤に対し、B-RTO(バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術)を施行することにより、肝性脳症が改善したC型肝硬変の1例

演者 堀北 実(香川県立白鳥病院 内科)
共同演者 森 俊文(香川県立白鳥病院 内科), 野田 佳子(香川県立白鳥病院 内科)
抄録 門脈大循環シャントによる肝性脳症に対してB-RTOは、近年その有用性が報告されつつある。今回、我々は、胃・副腎シャントを有する胃静脈瘤に対し、B-RTOを施行することにより、肝性脳症が改善したC型肝硬変の1例を経験したので報告します。患者は73歳、男性。主訴は意識障害。平成13年3月より、 C型肝硬変(ChildB)、食道・胃静脈瘤、高アンモニア血症、多発性肝嚢胞、胆石、高血圧にてフォローしています。同年10月に、S5にできた径2.5cm大のHCCに対し、RFAを施行しましたが、その後局所再発を認めていません。高アンモニア血症に対し、アミノレバンやラクツロースを投与していましたが、∥度肝性脳症が出現するようになり、B-RTO目的にて入院となる。上部消化管内視鏡検査では、食道静脈瘤(Li,F1,Cw,RC(-))と胃静脈瘤(Lg-cf,F3)を、腹部造影CTでは、造影される胃静脈瘤と腎静脈より頭側で下大静脈へ流出するシャントを認めた。上腸間膜動脈造影、脾動脈造影にて、共に胃静脈瘤が描出され、供血路として左胃、後胃、短胃静脈が、流出路として腰椎L1あたりで下大静脈へ流出するシャントが存在していた。そこで、経静脈的に造影検査を施行した。L2あたりで下大静脈より分岐する腎静脈を逆行性造影するも、上記シャントはありませんでした。L1あたりで下大静脈より分岐する静脈を逆行性造影すると、副腎静脈とそれに連なる左下横隔膜静脈の一部が描出されました。そこで、マイクロコイル、70%Tz、エタノールを用い血流改変を行った後、B-RTV(バルーン閉塞下逆行性静脈造影)にて胃静脈瘤が描出されたため、B-RTO(1日留置法)を施行しました。B-RTO施行後の腹部造影CTでは、胃静脈瘤は血栓化し、短絡路も消出していました。B-RTO施行後、食道静脈瘤は、色調変化のみで形態、発赤所見に変化なく、胃静脈瘤は消出していました。B-RTO施行前後における3カ月間のアンモニア,Albの平均値およびICGは、改善しており、肝性脳症の出現も、その後認めておりません。
索引用語 B-RTO, 肝性脳症