セッション情報 一般演題

タイトル 25:

十二指腸原発のガストリノーマの一例

演者 加藤 清仁(香川大学 医学部 第三内科)
共同演者 筒井 邦彦(香川大学 医学部 第三内科), 扇喜 智寛(香川大学 医学部 第三内科), 室田 将之(香川大学 医学部 第三内科), 小原 英幹(香川大学 医学部 第三内科), 内田 尚仁(香川大学 医学部 第三内科), 栗山 茂樹(香川大学 医学部 第三内科)
抄録 ガストリノーマは膵に生じることが60~80%と最も多く、次いで十二指腸10~20%にみられ、胃、胆嚢、腸間膜、卵巣、肝における発生も報告されている。今回、我々は十二指腸原発と思われるガストリノーマの一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。症例は73歳女性。平成14年9月下旬より嘔吐、下痢が出現し近医を受診した。上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球後部に多発性潰瘍を認め、PPIを投与された。その後一ヶ月半程度無症状であったためH 2 blocker に変更したところ、12月初旬に再び嘔吐と下痢が出現した。繰り返す多発性潰瘍、ガストリン高値(2000pg/ml)より、ガストリノーマが疑われ精査目的で当科紹介入院となった。末梢セクレチン負荷試験は陽性であり、上部消化管内視鏡検査で上十二指腸角付近にやや中心の陥凹した隆起性病変を認め、同部の生検でカルチノイドと診断されるも、特殊染色ではガストリノーマの診断に至らなかった。Dynamic -CT、腹部エコー、腹部MRI、超音波内視鏡検査では膵膝部に小嚢胞を認めるもガストリノーマを疑わせる腫瘤は認めなかった。PETでは腹部に異常集積像を認めなかったが、甲状腺左葉に集積を認め、吸引細胞診で乳頭腺癌であった。頭部MRIなどの画像や血液検査等で脳下垂体、副腎、副甲状腺に異常を認めず、多発性内分泌腺腫症(MENI型)は否定的であった。選択的動脈内セクレチン注入試験(SASI test)では上腸間膜動脈領域が陽性であった。十二指腸病変部の部分切除術を行い、さらに十二指腸下行部後壁から膵頭部後面に約2.5cm大のリンパ節転移を認めたため膵頭十二指腸切除術を施行した。病理検査で腫瘍細胞はgrimelius染色で好銀顆粒が認められ、gastrin、chromogranin、synaptophysin、NSE、Leu7に陽性反応を示しており、カルチノイド、ガストリノーマ(WHO分類)に相当していた。術後は順調に経過しガストリン値も正常化した。
索引用語 ガストリノーマ, 十二指腸