セッション情報 ワークショップ9(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

我が国の肝移植の現状と将来

タイトル 消W9-6:

当院における長期経過後再肝移植症例の検討

演者 武市 卒之(熊本大大学院・移植外科学)
共同演者 阿曽沼 克弘(熊本大大学院・移植外科学), 猪股 裕紀洋(熊本大大学院・移植外科学)
抄録 【目的】我が国では、末期肝疾患に対する生体肝移植が定着し、一定の成績を上げているが、その一方で、肝移植後長期経過した症例での肝硬変、肝不全の患者も増えつつある。当科における肝移植後1年以上経過した後の再移植症例につき、その適応、成績について検討をおこなった。【方法】2010年3月まで当科で施行した肝移植例は310例(生体:308、脳死:2)で、うち再移植症例は16例であった。このうち1年以内に再移植を行った4例を除いた、12例を今回の対象とした。年齢中央値 21歳(3-65)、男女比 5:7、初回移植の原疾患は、胆道閉鎖症4例、劇症肝炎3例、HCV1例,FAP1例,PSC 1例,Byler病1例,原因不明肝硬変1例で、再移植時期は20~201ヶ月(中央値:70ヶ月)であった。【結果】グラフトロスの原因としては、慢性拒絶反応が4例(このうち血液型不適合移植1例)、原疾患の再発と思われるものが4例であった。再移植形態は、生体部分肝9,ドミノ全肝2,脳死全肝1,であった。再移植後粗生存率は、75%(12人中3例死亡)で、死亡3例の原因は、脳出血1例、敗血症1例、原疾患の再発1例で、2例は再移植後1週間以内の死亡であった。【まとめ】当院での、肝移植後1年以上経過した後の、肝再移植の成績は比較的良好であった。再移植を行うに際しては、脳死登録を含め、その適応、時期を十分考慮した上で、遅滞なく実行することが、重要と考えられた。
索引用語 肝移植, 再移植