セッション情報 ワークショップ9(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

我が国の肝移植の現状と将来

タイトル 外W9-11追2:

C型肝硬変に対するABO不適合肝移植後の低用量Peg-IFN/RBV療法の有用性

演者 居村 暁(徳島大・消化器・移植外科)
共同演者 島田 光生(徳島大・消化器・移植外科), 宇都宮 徹(徳島大・消化器・移植外科)
抄録 【はじめに】ABO不適合肝移植(ABO-i LT)が克服すべき壁のひとつに液性拒絶防止があるが、2000年代よりリツキサン(Rit)導入等により成績は向上した。しかしC型肝炎症例では術前からの強力な免疫抑制のためHCV増殖による肝炎の再燃増悪が危惧されており、ABO-i LT後のHCV治療は未だ確立されていない。今回、われわれのABO-i LTプロトコールに加え、CyAおよび低用量Peg/RBV療法継続によりSVRを得た2症例を呈示し、C型肝炎症例に対するABO-i LTxの治療戦略を提案する。【ABO-i LTプロトコール】術前:3週間前にRit 500mgを投与、1週間前からMMF 1000mg/日を投与、3日前から血漿交換(目標抗体価16倍未満)を施行。術中・術後:PGE1製剤とFuthanを門注(~術後1w)、γグロブリン(0.5g/kg/d、術中、術後Day3~7)を投与。C型肝炎症例は脾摘併施。【移植後C型肝炎治療】適合移植時と同様、Pre-emptive therapyを行う。全身状態および免疫抑制剤投与量が安定したら低用量で開始(Peg-IFN 0.4-0.5μg/w、RBV 200mg/d)。治療開始前にIL28B SNPsがMajorであることを確認。【症例1】50歳代女性、血液型O型。肝癌合併C型肝硬変症例。ドナー血液型はA型。術前抗体価4倍未満で肝移植施行(GV/SLV 50%)、脾摘なし。免疫抑制はCyA、MMF、ステロイド。ゲノタイプはI型。術後11週目から低容量Peg/RBV療法を開始。6週でEVR、投与終了後3年経過、SVR。【症例2】60歳代男性、血液型B型。肝癌合併C型肝硬変症例。ドナー血液型はAB型。術前抗体価4倍未満で肝移植施行(GV/SLV 38%)、脾摘あり。免疫抑制はCyA、MMF、ステロイド。ゲノタイプはII型。術後9週目から低容量Peg/RBV療法を開始。4週でEVR、治療後2年経過、SVR。事後解析であるが2組ともレシピエント・ドナーのIL28B SNPsはMajorであった。【まとめ】C型肝硬変に対するABO-i LT後のCyAによる免疫抑制と低用量Peg/RBVによる抗ウイルス療法は認容性も優れ、HCV-RNA陰性の維持に有用である。さらに今後、IL28B SNPs解析による個別化治療の可能性にも期待できる。
索引用語 肝移植, 血液型不適合