セッション情報 ワークショップ9(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

我が国の肝移植の現状と将来

タイトル 肝W9-13追3:

生体肝移植後サイトメガロウイルス感染に対するvalganciclovir(バリキサ錠)とganciclovir(点滴静注デノシン)の治療効果に対する無作為比較試験

演者 冨樫 順一(社会保険中央総合病院DELIMITER東京大・人工臓器・移植外科)
共同演者 菅原 寧彦(東京大・人工臓器・移植外科), 國土 典宏(東京大・人工臓器・移植外科)
抄録 目的:生体肝移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染におけるpreemptive therapyに関して、valganciclovir(VGCV;バリキサ錠)による治療がganciclovir(GCV;点滴静注デノシン)と同等の効果を示すかの報告はまだない。対象・方法:2005年12月より無作為比較試験を施行した。当科で施行された生体肝移植症例のうち移植後6カ月以内にCMV感染を発症したレシピエントが無作為割り付けされた。VGCV群とGCV群には各900mg/body、5.0mg/kgで1日2回投与された。主要評価項目は先行治療終了後2週以内のCMV消失による治療成功率とし、副次評価項目は先行治療終了後1カ月以内のCMV感染再発率、及び1年以内でのCMV感染発症累積再発率、さらに安全性と治療忍容性評価とした。結果:対象基準を満たした生体肝移植後CMV感染レシピエント22例。投与2週でのCMV治療成功率は各々、VGCV群で82%(9例)GCV群で91%(10例)であった。VGCV群で1ヶ月以内に1例再発した。一方GCV群は1例も再発を認めなかった。1年以内の累積再発率は統計学的有意差を認めなかった。全症例が治療プロトコールを完遂し、両群とも試験離脱症例は認めなかった。結論:生体肝移植後CMV感染の先行治療に対して、点滴静注GCVと同等効果をもって、経口VGCV治療は安全な治療選択肢となる。
索引用語 生体肝移植, サイトメガロウイルス