セッション情報 ワークショップ10(消化器病学会)

膵の再生と線維化-progenitor cell・stellate cellの役割-

タイトル 消W10-9:

膵線維化における細菌感染の意義

演者 清水 京子(東京女子医大・消化器内科)
共同演者 比良 裕子(東京女子医大・消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医大・消化器内科)
抄録 【背景と目的】膵星細胞の表面にはToll-like receptor (TLR)が発現し、細菌やウイルスなどが膵星細胞の線維化を促進すると考えられる。本研究では、TLR2リガンドであるグラム陽性球菌の菌体成分のリポタイコ酸(LTA)と、TLR4リガンドであるグラム陰性桿菌の内毒素(LPS)の膵線維化への影響を検討した。【方法】(1)in vitroの検討:ラットの膵星細胞にStaphylococcus aureus、Streptococcus pyogen、Streptococcus faecalis由来のLTAまたは大腸菌のLPSを添加し、細胞増殖能、α-SMA発現、コラーゲン産生能を測定した。 (2)in vivoの検討;C57BL/6J雌性マウスにLiber-DeCarli diet食(C食)あるいは5%エタノールを添加した食餌(E食)を8週間投与後、LPS、LTA、salineを週2回腹腔内投与し、血清ケモカイン濃度、膵の形態学的変化、ケモカイン等の遺伝子発現について検討した。【結果】(1)LTAとLPSによって膵星細胞の増殖能に変化はなかったが、α-SMA発現とコラーゲン産生能は有意に増加した。(2)アルコール性慢性膵炎動物の血清MCP-1濃度はLPS投与によって増加したが、LTA投与では変化を認めなかった。組織学的にLPS群で炎症細胞浸潤を認めたが、LTAでは炎症細胞浸潤はわずかであった。α-SMA陽性細胞数はLPSを投与したE食群で最も増加し、LTA投与群では有意な増加を認めなかった。膵組織のCCL2遺伝子発現はLPS投与群で有意に増加し、エタノール投与群で高い傾向があったが、TGF-βとfibronectinの遺伝子発現には変化はなかった。【結語】LTA、LPSはともに膵星細胞の膵線維化を促進したが、in vivoではLPSのみ膵線維化を増強した。以上の結果から、アルコール性慢性膵炎ではグラム陰性桿菌感染は膵線維化の増悪因子となるが、グラム陽性球菌感染の影響は少ないと考えられる。
索引用語 膵星細胞, toll-like receptor