セッション情報 ワークショップ10(消化器病学会)

膵の再生と線維化-progenitor cell・stellate cellの役割-

タイトル 消W10-11:

膵星細胞はβ1-integrinシグナル系を介して膵癌細胞の放射線感受性を減弱させる

演者 正宗 淳(東北大・消化器病態学)
共同演者 下瀬川 徹(東北大・消化器病態学)
抄録 【目的】膵星細胞は、膵癌細胞の増殖や遊走、上皮間葉転換の誘導や抗癌剤によるアポトーシス誘導抑制作用などを介して膵癌の進展を促進するとされる。一方、膵星細胞が膵癌の放射線治療応答性を変化させるかは明らかではない。今回、膵星細胞による膵癌放射線感受性への影響について検討した。【方法】ヒト膵星細胞株(hPSC-5およびLTC-14)とヒト膵癌細胞株(Panc-1、PSN-1およびMIA PaCa-2細胞)を実験に用いた。検討1: 膵癌細胞を単独あるいは膵星細胞とin vitroにて直接共培養した。放射線を照射し、コロニー数を10~14日後に計測した。検討2: 膵癌細胞を単独あるいは膵星細胞とともにヌードマウスの皮下に移植した。腫瘍径が50 mm3となったのち、6Gyの放射線単回照射あるいは3.5Gy 3日間の連日照射を行い、腫瘍径の経時変化を検討した。なお本研究はGray Institute for Radiation Oncology and Biology、University of Oxford、United KingdomのTine Mantoni博士、Thomas Brunner博士との共同研究として行われた。【成績】放射線照射により膵癌細胞のコロニー形成能は照射量依存性に抑制された。その抑制作用は、膵星細胞と直接共培養した膵癌細胞では膵癌細胞単独の場合と比べて減弱した。膵星細胞による放射線感受性減弱作用はβ1-integrin中和抗体の存在や、膵癌細胞にβ1-integrin siRNAまたはfocal adhesion kinase siRNAを導入することにより阻害された。ヌードマウスに皮下移植した腫瘍の増大は放射線照射により有意に抑制された。その抑制効果は、膵星細胞を同時接種した腫瘍においては減弱していた。【結論】膵星細胞は膵癌細胞の放射線感受性を減弱させた。その分子機序としてβ1-integrin-FAKシグナル系の関与が示唆された。
索引用語 膵癌, 膵線維化