セッション情報 ワークショップ11(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

下部消化管疾患に対する拡大内視鏡の最前線

タイトル 消W11-3:

大腸腫瘍深達度診断におけるIEE拡大とpit pattern診断の比較~NBI vs. FICE拡大所見の比較検討

演者 平賀 裕子(県立広島病院・内視鏡内科)
共同演者 隅岡 正昭(県立広島病院・内視鏡内科)
抄録 【目的】画像強調方法の異なるNBIと FICEでは毛細血管の見え方に差異があり、NBI拡大分類がFICEでも適応可能かは未だ明確ではない。我々の施設では両方の機器が使用可能であり、NBIとFICE所見の比較についてpit pattern診断との比較も含め検討したので報告する。【対象・方法】NBIあるいはFICE観察と同時に色素併用拡大観察も行い病理組織診断された大腸腫瘍901病変(非腫瘍65、腺腫694、M癌110、SM1癌5、SM2以深癌27)に対し、病理診断・深達度診断能におけるIEE拡大所見(広島分類)とpit pattern診断との比較について検討した。また、NBIとFICEの両方で観察しえた102病変に関して両者の所見の対比について検討した。【結果】[検討1]NBI観察をした785病変のうち、surface patternが不明瞭で無血管野や断片化した異常血管が見られるC3-typeのSM以深癌診断に対する感度/特異度/正診率(95%CI)は51.7(33.5-69.9)%/99.9(99.6-100)%/98.1(97.1-99.0)%であった。一方、VI-high or VN pitでは69.0(52.1-85.8)%/99.5(99.0-100)%/98.3(97.5-99.2)%であった。[検討2]FICE観察をした218病変では、C3-type 57.1(20.5-93.8)%/100(100-100)%/98.6(97.1-100)%、VI-high or VN pit 57.1(20.5-93.8)%/99.1(97.7-100)%/97.7(95.7-99.7)%であった。[検討3]NBIとFICEの両方で観察した病変の所見一致率は89.2(83.2-95.2)%で、組織型別では非腫瘍100(100-100)%、腺種91.5(85.4-97.5)%、癌76.5(56.3-96.6)%であった。【考察】surface patternが明瞭か否かと血管の規則性・異常血管の有無に注目して分類するとFICEでもNBI拡大分類が応用可能であり、IEE拡大C3-type診断の大腸浸潤癌に対する特異度はVI-high or VN pit pattern診断と比較しても優るとも劣らず、内視鏡治療をtryするか判断する上で有用であると考えられた。
索引用語 NBI, FICE