セッション情報 ワークショップ11(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

下部消化管疾患に対する拡大内視鏡の最前線

タイトル 内W11-4:

大腸腫瘍性病変の異型度・深達度診断におけるNBI拡大観察の有用性

演者 斎藤 彰一(東京慈恵会医大・内視鏡科)
共同演者 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 池上 雅博(東京慈恵会医大・病院病理部)
抄録 【目的】NBI拡大観察による組織診断、特に早期大腸癌の治療法選択に関しての有用性について検討をした.【方法】当院で切除が施行された551病変(うち早期大腸癌317病変)を対象とした.SM浸潤距離1000μm未満をSM slight(以下SM-S)癌、以深をSM massive(SM-M)癌とした.NBI拡大観察下における血管模様の分類は走行が認識されない1型、血管径が軽度拡張する2型、血管拡張が著明な3型、血管分布が疎で走行がおえない4型とした.3型は絨毛状構造を呈すると考えられる間質に一致して拡張血管が規則的に走行する3V(Villous)型と、走行に不規則性を伴う3I(Irregular)型に二分した.【成績】内訳は1型で82.1%が過形成性ポリープ(10mm以上)であった.2型では57.6%が腺腫、34.6%に粘膜内癌(M-Ca.)であった.3V型では63.8%がM-Ca.、17.8%が腺腫、13.8%にSM癌がみられた.3I型ではM-Ca.は19.1%で、SM-S癌が23.5%、SM-M癌が54.4%と半数以上の症例でSM癌であった.4型では96.8%がSM-M癌であった.血管模様分類におけるsurface patternの残存の有無では、2型と3V型では全例でsurface patternがみられ、3I型では56.8%の症例でみられ、4型では94.4%の症例で消失していた.深達度との関係では3I型でsurface patternがみられるものが1059μm、しないものが2850μmであり、4型ではいずれも4000μm前後であった.【結論】NBI拡大観察において、血管走行の性状および有無を観察することで腫瘍表層部の組織性状の把握が容易に行えると考えられた.併せてsurface patternの残存の有無を観察し、より簡便に深達度診断が行えることが期待できる.一方で深達度診断においては色素法拡大観察がNBI拡大観察より詳細に腺管開口部の性状を把握できることから、特に3I型ではsurface patternの残存の有無にかかわらず、より詳細なpit pattern観察を行い慎重に治療法選択を行うことが望まれる.
索引用語 NBI拡大観察, 早期大腸癌