セッション情報 ワークショップ11(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

下部消化管疾患に対する拡大内視鏡の最前線

タイトル 内W11-5:

大腸上皮性腫瘍の診断に対するNBI併用拡大内視鏡の有用性

演者 久部 高司(福岡大筑紫病院・消化器内科)
共同演者 八尾 建史(福岡大筑紫病院・消化器内科), 松井 敏幸(福岡大筑紫病院・消化器内科)
抄録 【背景】NBI併用拡大内視鏡診断においてVS classification systemを用いた微小血管構築像と表面微細構造の評価が、大腸上皮性腫瘍の診断において有用か検討する。【対象】2010年12月までに福岡大学筑紫病院で摘除された大腸腺腫および早期大腸癌のうちNBI併用拡大内視鏡による観察が行われ、クリスタルバイオレット染色でpit patternが十分に観察できた287症例(腺腫138病変,M・SM軽度浸潤癌99病変,SM深部浸潤癌50病変)を対象とした。【方法】Pit pattern観察とNBI併用拡大観察における1.腺腫2.癌3.SM深部浸潤癌の診断能について(1)正診率(2)感度(3)特異度を検討した。Pit pattern診断はV型を癌の指標とし,Vi型高度不整とVN型をSM深部浸潤の指標とした。NBI併用拡大内視鏡診断は、vascular pattern(VP)およびsurface pattern(SP)をregular(均一,対称性,規則的)/irregular(不均一,多様性,非対称性,不規則)の2群に分け、それぞれにabsent(視認不可)領域の有無も判定した。VP、SPともにregularをを腺腫の指標、VP、SPともにirregularを癌の指標、VP、SPともにirregularかつabsent領域を有するものをSM深部浸潤の指標とした。【成績】1.(1)pit pattern診断による腺腫診断の正診率86.4%,感度93.5%,特異度79.9% (2)NBI診断による腺腫診断の正診率82.2%,感度85.5%,特異度79.2% 2.(1)pit pattern診断による癌診断の正診率86.4%、感度79.9%、特異度93.5% (2)NBI診断による癌診断の正診率81.5%,感度70.5%,特異度93.5% 3.(1)Pit pattern診断によるSM深部浸潤診断の正診率84.6%、感度88.0%、特異度82.8% (2)NBI診断によるSM深部浸潤診断の正診率83.2%、感度50.0%、特異度100% なおVP、SPともにirregularかつabsent領域を有したSM深部浸潤25例のうち4例はVi高度不整を21例はVN型を呈した。【結論】vascular patternおよびsurface patternを加味したNBI併用拡大内視鏡診断は、pit pattern診断と比較して腺腫と癌の診断では感度は低いものの特異度は同等で、SM深部浸潤癌の診断ではきわめて特異度が高かった。
索引用語 NBI, 大腸腫瘍