セッション情報 ワークショップ11(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

下部消化管疾患に対する拡大内視鏡の最前線

タイトル 内W11-7:

大腸腫瘍に対するFICEによるvascular patternおよびsurface pattern観察の有用性

演者 吉田 直久(京都府立医大・消化器内科)
共同演者 八木 信明(京都府立医大・消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医大・消化器内科)
抄録 [背景および目的] 我々は大腸腫瘍に対するFICEによる血管および表面構造の拡大観察は,その有用性が報告してきた(J Gastroenterol 2011).FICE拡大観察はNBIと比べやや血管の見え方が異なるがNBIに準じた分類を用いることが可能である.現在NBI・FICE拡大観察においては統一された分類はないがvascular patternおよびsurface patternを加味し評価を行うことが提唱されている.しかしながらvascular patternの不整の評価はやや煩雑でありその判断には経験を有する.本研究ではFICEによる拡大観察についてvascular patternの不整について検討を行った.[方法] 過去3年間に当科でFICEにより拡大観察を施行し,病理学的検討が可能であった大腸病変150病変を対象とした.拡大観察は,田中らのNBI分類に一部改変を加えType A,B,C1/C2,およびC3の4つに分類し解析を行った.癌の指標とされるType C1/C2病変のvascular patternにおいて絨毛状の血管を呈し血管の不整度の強いpapillary type とネットワークを形成するtubular typeに分けて病理組織との検討を行った.[結果]FICE(150例)においてType C1/C2(57例)は26例(45%)がM-SM1000μm未満癌であり26例(45%)が腺腫であり,5例(10%)がSM1000μm以深癌であった.Type C1/C2病変において,papillary type(39例)はadenoma: M-SM1000μm未満癌: SM1000μm以深癌が20: 18: 1であり腺腫の割合が高かった.一方tubular type (18例)はadenoma: M-SM1000μm未満癌: SM1000μm以深癌が6: 8: 4でありM癌~SM癌の割合が高かった.[結論] 大腸病変におけるFICE拡大観察においてType C1/C2病変のvascular patternはpapillary typeとtubular typeで所見がまったく異なり,さらに各々の病理組織も異なるためこれらを区別して認識する必要性が示唆された.surface patternを加味することでこの二つのパターンは容易に鑑別しえるため,初心者のvascular patternの理解にも有用であると考えられた.
索引用語 FICE, 拡大観察